
DATA
- ビルディングタイプ
- 共同住宅・集合住宅・寮
- 構造
- 木造
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 139.33㎡
- 竣工
- 2018-11
CREDIT
- 設計
- sside(サイド)一級建築士事務所
- 担当者
- 糸井裕構、飯泉洋紀
- 施工
- 株式会社渡辺工務店
- 撮影
- 小野吉彦
古都鎌倉の長谷寺近くに「光葛折」は計画された。 クライアントの別荘であり、非日常空間を創造する事に重きが置かれた建築。歴史のある鎌倉の周辺環境に溶け込むようなデザインを目指し、静寂と喧騒が入り乱れる街のイメージをそのまま「静」と「動」の空間として建物の大きなコンセプトとして計画している。 文京区にお住まいのクライアントは自宅と新宿にある仕事場とを往復する毎日で、少ない休日に家族とゆっくり過ごす時間と趣味のサーフィンをとても大切にしていた。鎌倉にはサーフィンで良く訪れており、必然的に別荘を欲するようになる。そもそもあまり土地が売りに出る場所柄ではなく、ようやく見つけた待望の敷地であった。最初に敷地に立った時、鎌倉という立地から「海」「自然」「景観」等を期待していたが、見事に裏切られる事となる。そこには逆に古都らしく、前面道路は狭く、隣家からの距離は非常に窮屈であった。更地の状態から薄暗い印象で、「光」をいかに取り込むかが最大の課題となる 重要視した点は、都会の喧騒から逃れ、非日常空間を体感できるよう「明」「暗」「洋」「和」のメリハリのあるデザインを用いた。空へと近付く上階は「明」「洋」を、静寂を愉しむ下階には「暗」「和」の構成としている。また、旗竿型の敷地は隣家が近接しており、光を取り込む事が困難である。そこで建物のコアを四分割にし、前後にずらす事により自然にできた箱庭及び天空から光を導く計画とした。プライバシーを重要視し、外部には閉じ、内部及び天空へと開く形体としている。 鎌倉の大仏と長谷寺から非常に近く、日中、週末等には人の波が絶え間なく押し寄せ、その一方夕刻を過ぎると人ひとり歩いていない静寂に包まれる。明るさが期待できない下階は、あえて暗がりを生かせる和の空間とし、都会の喧騒から逃れる事のできる瞑想空間とした。上階は「動」の空間とし、家族の団欒の場や刻々と移ろう「時」を感じる事を可能にた空間を計画している。四つのコアをずらし、さらに屋根勾配を交互に折る形体とした事により生まれた最上部の開口部からは、昼は活動的な太陽の光を、夜は静寂な星空を届けてくれる。