
葉山に建てるヒノキの妻入 敷地は葉山の一色と呼ばれる地域にあり、海岸からは少し距離があるが丘陵状の地形であるため、通りからも常に海を意識できる緑深い丘の上の住宅街である。風致地区でもあることから、住宅同士は一定の距離を保ちながら建ち並んでいて、敷地ごとにレベル差があるため1階でも開口からは明るい自然光が降り注ぎ、2階に上がればふんだんに陽の光を取り込むことができる。 クライアントの希望もあり、その土地の木材を使った住宅とするため、木軸とフローリングには丹沢ヒノキ、その下地にも地場のヒノキ合板を使用した。1階の南面正面はせっ器質の縦長と正方形の組み合わせでレイアウトしたタイルで、軒天の木と共に柔らかい表情をつくり出す。屋根と外壁は耐久性の高いチタン亜鉛合金板でくるみ、時間とともに質感を変化させることであろう。この素材は私達の初期プロジェクトである伊勢神宮の内宮参集殿でも用いた。 前面道路からは引きをとった配置とし、玄関まではゆったりとした階段でアプローチする。玄関から階段へは連続した動線であり、階段を上がると高い吹抜けをもつヒノキの登り梁で包まれたリビングの空間へと到達する。このリビングに光を取り込み、一体となっているキッチンからも空が見えるようにと考えて「妻入り」の形状とした。リビングの南側には室内の縁側と考えたスペースがあり、ここに立てば遠くに海も眺めることができる。空間はこの縁側で終わるのだが、ガラス張りの2階のボリュームは張り出し、再度通りとつながるオープンエンドの存在として認識している。
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