
古い木造家屋が数多く残る大阪・谷町6丁目の細い路地を50m程進んだ先にある美容室の計画です。女性オーナーが1人で営業されるため、カット・シャンプー各1席のコンパクトな構成となっている。お客様と1対1のプライベートな空間であることから、「お客様がセットイスに座っているだけではなく、店内を自由に歩き回れるようなお店にしたい」というオーナーの要望を受け、自由に雑誌を読んだり、コーヒーを飲んだり、待合スペースやカウンセリングスペースになったりと、フレキシブルに利用できる大きなテーブルを中央に設け、そのテーブルを中心として他のスペースを配置しています。 バックヤード以外は、間仕切り壁を設けないひと続きの空間となるため、使用する素材や色を限定し、既存鉄骨柱・梁が構成するグリッドに合わせて各スペースのゾーニングを行った上、パステルカラーの壁やタイルの目地、スチール棚などがつくる直線ラインが、それらのグリッドに呼応するような計画とすることで、既存要素も活用しつつ全体のバランスを整えています。 シンプルな中にも大人の女性オーナーらしいスッキリとしたかわいらしさを持ったお店となり、また、中央の大きなテーブルをお客様に利用してもらうことで、テーブルに置かれた本やアートなどから自然とお店のスタイルが発信され、そこから新たなコミュニケーションが生まれることを期待しています。
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