
DATA
- ビルディングタイプ
- 共同住宅・集合住宅・寮
- 工事種別
- 新築
- 延べ床面積
- 652.5㎡
- 竣工
- 2020-11
CREDIT
- 設計
- 駒田建築設計事務所
- 担当者
- 駒田剛司、駒田由香
- 施工
- 山庄建設
- 構造設計
- yAt構造設計事務所
- 撮影
- 傍島利浩 浅田美浩
Y TERRACEについて Y TERRACEは、都心でも有数の歴史ある住宅地に計画された、全5戸のコーポラティブハウスである。袋小路の先の敷地は舌状台地の縁にあたり、その北側は谷筋へ落ち込む急な斜面を深い緑が覆っている。永い樹齢を経た木々が生い茂る緑地は、公園として公開されているが、敷地に近い斜面は立ち入りが禁じられているため、都心とは思えない静寂さである。緑豊かで落ち着いた北側の環境とどう向き合うかが、自ずと計画の主題になったのだが、単に公園を借景として扱うという考え方はしたくなかった。眺める対象としての緑ではなく、日々の生活にその存在が体感としてより深く感受されるようなものにならないだろうか。視線によって消費される自然ではなく、目の前の自然が、身体的な関わりを通して生活の場と地続きになるような状況を作りたい、と考えた。 それを具体化したのが、北側斜線と日影規制によって斜めに削られたルーフ面の緑化と、ルーフと室内をシームレスに繋ぐために、斜めに迫り上げられた床スラブである。室内からバルコニーから迫り上がった階段を昇り、公園の緑と屋上緑化された屋上の開放感を体感する豊かさには、ただ公園を眼で楽しむ以上の価値がある。隣地斜面の緑を、屋上に繋げるために、人工地盤は表層的なものではなく、高木が植樹可能な厚みを持たせた。それが可能になったのも、床スラブを斜めに迫り上げたことによる。 斜めの床スラブは、直接公園に面していない住戸と、屋上を持たない住戸にも応用した。メソネットの上下階が屋上や大階段のドライエリアを介して繋がる循環的な空間を実現している。日々の生活が自然を常に身体で体感しながら豊かに展開する、そんな住空間を目指した。