08BLDG.

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    marutau arqui / TATAMI
  • 施工
    SHUKEN Re
  • 構造設計
    MASD(現・ラケンネ)
  • 撮影
    Brian Scott Peterson

かつてフォトスタジオ+賃貸住居だった築25年余のビル一棟を、若い夫婦と子供が暮らす住居+オフィスに生まれ変わらせました。 既存建物は、従来の用途と敷地要因もあって、うなぎの寝床のような空間の積層体でした。そのため、建物が本来もっている高さのあるボリュームを活かせるよう、階ごとに完全に分断されていた3層の空間に連続性を持たせ、垂直方向の広がりを生み出すことを模索しました。 一方、新たな住まい手が望んだライフスタイルは、「オフィスを併設した住居」ではなく、住空間の中にオフィスが隔たりなく混在していて、むしろオフィスが存在としても動線としても家の中心にあるようなものでした。 今回の改修では、躯体の断面構成にズレを生じさせ余白を生むことで、そこから光や視線が抜け、行き来ができ、建物全体がひとつながりの立体的な空間として一筆書きの動線を描くような構成を意図しました。 もともとフォトスタジオで天井の高い一階は、エントランスを道路からセットバックさせ、多目的に使えるゆったりとしたアプローチ空間を生み出すと同時に、その直上の二階床を1m近く下げる操作を行いました。これにより一部の二階床と、配管・断熱等の観点から既存FLより嵩上げされた一階の床がぐっと近づき、スキップフロアの中二階が新たに生まれました。 床を下げたことで天井や窓が高くなり開放的で自然光に溢れ居心地のよい中二階には、昼間の滞在時間が長いオフィスとしての機能があてがわれています。上下階をつなぐ踊り場として生活動線の中心にあり、建物全体の様子を感じ取れる居場所になっています。自然光を1Fへ導く吹き抜けを取り囲むように、暮らしと仕事の時間が交錯する空間が生まれました。 外廊下にあった2階から3階への既存階段は、壁を取り払って部屋と一体化させ、梁間のデッドスペースや殺伐とした既存壁面を覆うように大きな本棚を設えました。仕事の本から趣味の本まで並び、カーペット貼りの踏板はそのまま座って読める家族の図書スペースになっています。 外観はかつてのフォトスタジオの面影を残しつつ、住宅らし過ぎないビルディングらしい佇まいを目指しました。 ネオンサインを含め凹凸した装飾的要素を纏ったファサードは、エキスパンドメタルの新しい表皮でくるむことで、シンプルな表層を獲得すると同時にその内面に建物の歴史を物語る要素が垣間見える面持ちになるよう意図しています。 商業的な様相を醸し出していたフォトスタジオのネオンサインも、新たなビルの名前になってそこに存在し続けています。昼間は存在感を消していますが、点灯するとエキスパンドメタル越しに光ってぼんやりと浮かび上がり、また違った表情を与えてくれます。