
千里緑地の家 リノベーション 2018 50年の歳月を経て見事に育った千里緑地に面して建つ壁式RC住宅のリノベーション。既存建物のポテンシャルを最大限に引き上げることがリノベーションでは肝要である。既存住宅は緑地に向かった素晴らしい開口部を持っていた。私達は各部屋の開口部をそれぞれの部屋に適したプロポーションとディテールを与え緑地と部屋をより親密なものとした。又、鉄骨による勾配屋根はたっぷりした気積を作り出していた。そのたっぷりとした気積を「部屋」ではなく「環境」と捉え、熱、自然光、通風を良好に整えて家族それぞれがお気に入りの居場所を「環境」の中から選びとって暮らす事が出来る空間としたのはキャンプを愛するこの家族独自の住まい方への提案である。既存外壁の美しいブルーのタイルはブルーのステンドグラスと連続して玄関に独特な雰囲気を醸し出しこの住宅の個性となっていた。そこで私達は玄関や廊下の仕上を床壁天井全てモルタル仕上とし空間すべてがステンドグラスのブルーの光に染まるよう素材を限定した。各部屋への入口には奥行きが深く天井の低いベニヤのトンネルを設けた。このトンネルは既存住宅が持っていたブルーの空間と緑と親密な明るい空間の対比をより強調し互いのポテンシャルを高める事に貢献している。 時を刻んだ様々な美しいもの。これらに敬意を払い尊重し最大限引き上げる為の設えをデザインする事でこの住宅は見事に蘇った。
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