建築、旅、健康を軸に生活のデザインを行なっている「ひとともり」の拠点。 江戸時代に建てられた奈良町家を「建築事務所」「宿」「カフェ」へとコンバージョンした。既存建物の良さを活かすべく、最小限のデザインを加え対比させることで互いの良さが再認識できるように心がけている。圧倒的な天井高さの通り庭には既存の天窓から感動的な光が刺していたので壁を黒の土壁とし室内で感じられる自然光の光を拡散させず限定した。夜には真暗な空間になり照明器具（NEW LIGHT POTTERY)のただ一つの灯が宿名「宿一灯」を示している。アプローチ側からステンレスメッシュと工事用ネットで構成された暖簾（fabricscape)越しにこの灯を見ると美しい波光を感じることができるようデザインしている。中庭の光を受ける前室の壁には光をじわりと受ける壁としてプラスターの上に柿渋と渋墨を混ぜてスポンジング塗装を行った。暗い階段には本磨きで無塗装の真鍮パイプの手摺を加え客室のわずかな自然光の光を受け微妙な鈍い光を放ちゲストの上階への期待を高めている。