店舗があるのは、オフィスビルの1階のテナント区画。公道から長いストロークを経てビルのエントランスにたどり着く。飲食店の立地にしては決していい場所ではないが、予約制のこの店舗においてはとてもストーリーのつくりやすい立地となった。 私たちはコンセプトを“邸宅に招かれたような温かみのある空間”としデザインを組み立てた。長いアプローチで日常から非日常へ誘い、店内に入る前も前室を設け、独特の世界観を創り上げた。マテリアルに関しては、食材にこだわるオーナーの意図を汲み取り、料理が映えるよう有機的な素材を意識した。ポーターズペイントやタンボアなど、一つひとつの素材に質感や温度を感じるものを用いて、統一感と変化を共存させた。無駄な要素を排し、空間に一体感を持たせることで、料理や音楽、会話を五感で楽しめる空間に仕上がった。
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