




補足資料



群馬県高崎市にて計画した2世帯住宅である。敷地向かいに広がる稲穂と連続して緑が広がるように、まとまった庭を南側に設けた。親子両世帯は、この庭に沿って並んで配置される。各世帯が庭を眺めることはできるが、各々の世帯は見合うことがない配置関係によって、常にお互いの生活が意識されてしまうのではなく、選択的につながることができる。同時に、庭は両世帯が共有する景色となる。庭を介して繋がる関係性が、世帯を結ぶ距離感として丁度良いと考えた。 このようなプランニングと併せて、各部屋の空間の彩りといったことも重要なテーマとなった。部屋に持ち込まれる家具や飾られるモノも多く、賑やかな生活空間が想定されていた。なので、あらかじめの建築計画で空間の質が決定的になるのではなく、細やかな設計が集積し、それらが家具と連なり、部屋の中に充満し建築と一体となった、まぜこぜの状態をつくることを思い描いた。 いくつもの色に塗られた建具や、装飾的な図柄のタイルを空間の各所にちりばめた。色は建具から棚板や家具へと、その塗られる箇所を増やし、色が空間の中に増殖していく。タイルの絵柄に見えてくる図形を抽出し、洗面所の鏡の輪郭や、三角形の小窓や手摺断面の形状に転用する。結果、バラバラとしたモノ決めの断片のようなものが集まった空間になった。 それらは、生活の側から持ち込まれる家具や食器、部屋を飾る絵画やオブジェといった、非建築な、でも空間の質感をしっかりと作り上げるモノと混じり合い、どこからが建物で、どこからがモノなのか定まらない宙に浮いた状態を作り上げる。 窓の障子や棚に加えたオレンジやサファイアブルー色の色ガラスは、外光を受けて鮮やかな色彩を空間の中に落とす。季節や時刻、天候に応じて、その様子は変化し、空間の中を掻き乱す。アクリルゴールドミラーの天井飾りは、光の図形として外光を室内へ反射させる。これらの、透過する光や、フィルタリングされた像、反射した像が、より一層、空間の見え方を撹拌する。そのような、建物と家具やモノがそれら属性を超えて、色や図像として軽やかに漂うような状況。それは、表層的で装飾的で現象的な、そのような物事の混成品のような空間とも言えるかもしれない。
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