淀川区就労支援施設 -PALETTE-

ビルディングタイプ
養護施設・福祉センター

DATA

CREDIT

  • 設計
    坂東幸輔建築設計事務所、ナノメートルアーキテクチャー
  • 担当者
    坂東幸輔、鈴木理咲子、野中あつみ、三谷裕樹、池原健介
  • 施工
    加藤組
  • 構造設計
    NAWAKENJI-M
  • 撮影
    太田拓実

自分の居場所を見つけられる都市空間のような建築 オフィスのように均質な一室の空間で、二十名くらいの利用者が作業机にむかって箱詰めをしたり、工業製品の部品を加工したりしている。半数はオープンなデスクで作業しているが、残りは視界に他者が入らないような目隠し付きの一人用デスクの前に座っている。見学者に緊張しているのか積み上げられた段ボール箱とパーティションで仮設的に仕切られた個室の中から甲高い叫び声が聞こえてくる。就労支援施設PALETTEの設計に先立って、隣地にある既存施設で見た光景だ。 PALETTEは知的障害者が単純作業に従事するのではなく、各々の個性を生かしたものづくりを通してしごとをする就労継続支援B型事業の施設である。飴細工が出来るお菓子工房や本格的な窯を設置した陶芸工房、シルクスクリーン機器を導入した印刷工房や平面絵画に限らない多様な表現のできるアトリエに加え、利用者の作品を発信するカフェやギャラリー、ショップも施設内に入っている。それぞれの工房・アトリエでの制作は管理のし易さから大きな一室の空間で行われるが、障害特性によっては既存施設で出会ったような他者と一緒に同じ空間にいることを苦痛だと感じる利用者もいる。本施設ではスケルトンドミノのような均質な空間ではなく、利用者ひとりひとりが居心地のよい場所を発見できるような空間を設計することが求められた。 1階はカフェとショップ、ギャラリー、2階はお菓子工房と休憩所、3階は陶芸工房と紙すき工房、4階は印刷工房とアトリエと階層ごとに用途を分けているが、それらを仕切る天井は切妻屋根がいくつも連なったような形状とした。エキスパンドメタルのギザギザ天井の下に閉じた居室を配置すれば身近なスケール感をした小屋のようなヴォリュームがたくさん現れる。窯場には素焼きのレンガ、施釉室には光沢のあるタイルなど小屋にはその室の用途を象徴するような素材や敷地周辺の建物の外壁に使われるような素材を使用しており、利用者は文字を読まずとも感覚的に場所を理解できるような工夫をしている。固有の素材を持った小屋とギザギザの天井を手掛かりにしながら利用者がそれぞれの快適な場所を探し出してくれることを期待している。 敷地は大阪の下町歓楽街である十三のすぐ近くにある。各階の平面構成は東西に構造・設備のコアを配置することで南北に視線が抜ける構成となっており、開口部からは梅田スカイビルを含む超高層ビル群からすぐ隣の工場や集合住宅の壁面まで様々なスケールの建築を感じることが出来る。竣工して気がついたことだが、工房・アトリエにいると周辺の奥行きのある景色と室内の素材が組み合わさって、屋内にいながら都市の外部空間にいるような気持ちになる。外観は様々な素材や尖った形状が積層された主張の強いデザインとなっているが、周囲の環境を建築に取り込んだ結果であり、十三という個性のある町の中で素直に受け入れられるデザインとなった。

物件所在地

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