Kent house plus

Building Type :カフェ

大阪に本店を構えるKent House plusのケーキ作品は、パリで活躍した後、日本で活動を始めた小住匡彦氏プロデュースによるもので、世界レベルのパティスリーの技術と独自のクリエイティビティを取り入れた、個性豊かなものとなっている。オブジェクトとしても造形的かつラグジュアリアスな作品の数々には、素材の光沢やテクスチャーが活かされ、独特のコントラストと深みが表現されている。 4階建ての既存店舗の2階部分に、厨房を拡張し、客席をリニューアルする本プロジェクトでは、小規模な空間ながらもこの世界観を連想させるような客室空間の演出を目指した。2階のカフェエリアに上がるとまず目に入るのは、その空間を構成している二枚のアクセントウォールである。アクセントウォールは、光沢感のあるイタリアン漆喰仕上げとし、空間に深みを与えるブランドカラーのブルーを採用した。そして、繊細で対比的な真鍮のラインを加え、ブルーとゴールドの「層」を作り上げた。キッチンと客室の境界となる「層」に開口を設ける事で、職人の開発風景とその作品を楽しむ客室空間に繋がりが生まれる。 また、象徴的な旧店舗の楕円形階段手すりを有効に利用し、カウンター席へ作り変ることで、カジュアルにイートインできるスペースとした。これまで味わったことのないフランスの味を、ケーキという作品を通じて多くの方へ届けたいという小住氏の思いでもある。ここに座ると隣同士が少し内側に向き合い、緩やかに関係を生み、自然な会話へと誘われる。 オーナーシェフの小住氏は、パリの第一線で菓子と向き合いながらこのプロジェクトの準備を進める必要があった。デザイン面での決断をするフランスの小住氏、プロジェクトのオペレーションの決断をする本店がある日本。この体制に密に対応するため、設計チームもイギリスと日本の国境を越えたコラボレーションチームとし、文化や習慣の異なる関係者の価値観が混ざりあう、とても面白いプロジェクトとなった。「フランス人」として、日本人が知らない「フランスの味」を紹介すると公言される小住氏。そんなオーナーシェフが、パリで獲得した繊細で創造的な世界観を、デザインチームと共に具現化した空間である。

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[data]
  • 構造
    鉄筋コンクリート造
  • 工事種別
    リノベーション
  • 竣工
    2018-10
  • 延べ床面積
    82.33㎡
  • 所在地:
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[credit]
  • 設計
    鈴木崇真建築設計事務所+藤井悠人
  • 担当者
    鈴木崇真,藤井悠人
  • 施工
    株式会社トレンタ
  • 撮影者
    ToLoLo studio