




京都市の中心地から少し外れた住宅地にある中古住宅の、家族5人のためのリノベーションである。本住宅には小規模な事務所の併設が求められた。 平成中期の建築である既存建物は、構造耐力、断熱性、気密性、劣化状態ともほぼ問題がなかった。そのため、リノベーションの内容は既存状態から住まい手のライフスタイルに合わせた空間への意匠的な設え直しが主要な項目となっている。 既存建物は、小さめの敷地に建蔽率容積率ともいっぱいに建てられ、北側斜線を避ける形での片流れで南に背の高くなった形状をしており、白を基調としたタイル風窯業系サイディングは樹脂独特の光沢をもって前面の通りに迫るような、落着かない面持ちに感じた。そこで、建物前の土間コンクリートを半分ハツり、そこに背の高い広葉樹を織り交ぜた前庭を配置し、さらに建物外壁をトーンを抑えたグレーへと変更、バルコニー手摺と玄関ドアを自然素材である杉板として、玄関通りへの佇まいを極力控えめで柔らかな物へとしていった。 既存内部は、2階を広めの食堂居間と水回りとした計画であったため通りへの開放性を考慮して空間構成は既存を踏襲している。ただ、階段室のボリュームがせっかくの広めの居間空間を歪にくねらせており、室内景観的・空間利用的にも使いにくい状態であったため、階段室の壁はすべて視線が通る羽目殺しガラスとガラス框戸とし、もっとも過ごす時間の多い居間空間に視覚的広がりを付加している。さらに、限られた空間で無駄遣いとなっていた食堂部分天井裏を現し、居住空間に取り込むことで全体の解放性を強化した。また、ロフトへの梯子を登りやすいものに変え、アクセスしやすく使いやすいロフト空間とし、活動領域拡張に努めた。 他に、新しい暮らし方の提案である、キッチンスペースの大きな作業台を設置、限られた事務所スペースへの壁一面の大容量棚の計画、事務所スペースからも前庭の緑のレイヤーとなり、目の前の通りと程よい距離感を作っている。
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