




デニゼン・ワークス設計によるバーンBは、フリントストーン壁により構成された既存の納屋を、開かれた空間が連動し合う住居へと再生させたリノベーションプロジェクトである。 敷地はイギリスの国立公園地区の一つとして登録されているサウス・ダウンズ内に位置する。元は農業用として建てられた納屋の中には、剥き出しになったフリントストーン壁と、屋根を支えるオークのトラスが4箇所残っていた。切妻の両端壁の上部にある既存の高窓からは、豊かな自然採光が内部に差し込み、煉瓦アーチを残す2つの戸口により構成される建物内の中心軸は、敷地内に存在する2つのコートヤードを繋ぐ役割を果たしていた。 本プロジェクトは、この歴史的な面影を残す納屋を改装し、新たにキッチン、ダイニング、リビング、そして中二階には書斎を導入し、敷地内にフォーカル・ポイントとなる棟を生む事を目的とした。住居可能な環境を作り、フリントストーンを保存するには、既存の外壁や屋根の断熱性のアップグレードも必要とされ、室内側に通気性の良い断熱材やライムプラスターを新たなレイヤーとして取り入れた。設計プロセスの大前提に「トラディショナルな納屋のリノベーション(イギリスではバーン・コンバージョンと呼ぶ)は避けたい」というクライアントの強い要望が、本プロジェクトの空間コンセプトの軸となっている。従来のバーン・コンバージョンのように、木造屋根の垂木や煉瓦アーチを剥き出しとして残すのではなく、既存建物のスケールや高窓からの豊かな自然光などが、設計するにあたり最も重要な存在となった。 まずは、オークのトラスを2箇所取り除く事で、中心に配置されるダイニングスペースの両脇には途切れのない二層分のボリュームが生まれた。ダイニングスペースを中心軸とし、片方のスペースに新たに導入されたキッチンは、地上レベルよりも600mmほど高く、着色されたオークフロア仕上げとなっている。この部屋は、目線が高くなる事で、室内の各スペースと視線で繋がりを持ちつつ、大きなガラス・スクリーンを取り入れた‘角’によって、空間としては独立する事を目指した。 ダイニングスペースを中心軸にキッチンと反対側の空間には、ライムプラスター仕上げでより質感が強調された‘2つ目の角’が、リビングスペースを構成している。天井高を抑える事で、空間の重心は低くなり、キッチンとは対比的な‘シーティング・エリア’を生んでいる。キッチン側のガラス面とは異なり、リビング側の壁はテクスチャーを持ち、重く彫刻的な印象を与える事で、親密でくつろぎやすい空間演出を目指した。中二階の書斎は、地上レベルでのアクティビティーから遮断され、隠れ家的なパーソナルスペースとなっている。既存の高窓が目線の高さとなるこの部屋は、サウス・ダウンズのパノラマ景色を眺められる場所となっている。

