




東京・恵比寿の落ち着いた通りの地下にある、アシェットデセールを提供するレストランの計画。 シェフとの打ち合わせの中で、白い空間に大理石や真鍮を組み合わせた、凛とした緊張感のあるレストランのイメージを伺った。その空間のイメージは、白く美しい器や、磨かれた繊細なグラスやカトラリーのイメージへと、頭の中で置き換わっていった。こだわりの素材でつくられた料理が映える、器のような空間を目指し計画を進めることにした。 解体が進むと、躯体や下地の状態を確認することができた。手入れの必要はありながら、この素朴な表情が、光沢のある大理石や平滑な白い壁面の持つ緊張感を一層引き立てるのではないかと、当初の予定を変更し、天井や一部の壁面をそのままにすることになった。シェフはこれを「フォアグラとジャガイモ」と呼んだ。 カウンターは1mの奥行きをとり、作業台を兼用する。製菓の作業台としても使われる大理石の上で、シェフの手元をライブパフォーマンスのように楽しむことができる。そのために、配管スペースをバックカウンター下にまとめることで厨房内の床の高さを抑え、厨房と客席の自然な高さ関係を設計した。また、厨房機器が客席側から直接見えないように配置することで、オープンキッチンでありながら、落ち着いた印象を与えている。 それぞれの素材が1枚の皿の上で共存する料理のように、シェフと施工者、設計者の意向の組み合わせを考え続けることで、美しいもの、粗いもの、新しいもの、古いものが、対比的表現ではなく、あるひとつの空気にまとまった空間が立ち上がったように感じている。 「Yama(山)」には、大人たちがひとときの贅沢を求めて、緊張と期待を抱えて足を踏み入れる。その足取りは特別な景色を思い描いて進む、登山のようであってほしい。
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