
緑道と呼応したテラスが段状に連なる 地下1階、地上3階+PH階で延床面積約500㎡、テラスや屋上を含めると約700㎡のRC住宅です。クライアントが求めたのは、家族のための快適な空間と共に来客者のためのもてなしのスペースを確保することと、「一日中明るい住まい」というものでした。 敷地は渋谷区の住宅地で、敷地北西側の緑道以外は隣家や道路に面する環境でした。計画ではまず緑道と呼応した構成を考えました。その上で南西側に階段室、北東側にテラスを設け、一日を通して光が移動しながら入るようにしました。南西側の階段室は、外の窓を半透明、室内側を透明ガラスとして、それが光の筒となって各階に光を送ります。北東側テラスは、建物全体を貫くように立体的に配置されていて、3階寝室に面したテラスから2階LDKに併設されたテラス、そして地下のドライエリアまで繋がり、それぞれが緑道に抜けるようになっています。テラスは杉板型枠打放しの壁に光が差し、豊かな表情を見せると共にその反射光が室内に入るようにしています。このような構成で、緑道側以外は基本的に壁で閉じながらも、一日中明るい住まいを実現しました。 求められた機能から、平面的には各階で完結する事が必要でしたが、外のテラスは断面的に繋がり、住まい全体を緩やかに関係づけています。外壁の杉板型枠打放しは、細い働き幅とし、更に幅を変えたものを混ぜる事で繊細な表情を持たせました。内部は、漆喰、ポーターズペイント等の塗り壁と、床は主にタイルで構成しています。天井は塗装仕上げとし、主要室は端部に間接照明を施しました。このように、一日の中で移動しながら入る光を様々な素材が受けて、柔らかい光の陰影が各空間の雰囲気をつくるようにしています。 そして、クライアントの趣味趣向をよく理解したインテリアコーディネーターの方が、主要な内装や家具、絵画など装飾品を選定し、住まいの様々な場所に配置して、家全体がギャラリーのような空間となっています。