閖上のオフィス

ビルディングタイプ
その他オフィス・企業施設
3
224
日本 宮城県

PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 設計
    new building office
  • 担当者
    小俣裕亮, 須田牧子
  • 施工
    共栄ハウジング、杭施工:三誠
  • 構造設計
    EQSD一級建築士事務所(担当:三崎洋輔)
  • 撮影
    new building office

オーバー ザ バンク/アンダー ザ ブリッジ 港湾地域に建つオフィスの計画である。 敷地は港湾工場団地の一区画であり、震災後に嵩上げされた河川堤防と新造された防潮堤によって二辺を挟まれた三角形の形状をしており、海に向かって突出しているものの地表レベルから海を眺めることはできない。また敷地を構成しているのはここ1万年の間に河川が運んだ砂が堆積してできた地層であり、いわゆる軟弱地盤に該当する。 1万年かけて川が創った地面に、10年前に起こった津波の後に人が造った堤防を超えて、地面よりはるか昔からあった海を見渡せる高さに床を作ること、これが今回の建築の技術であり、時間軸上の配置でもある。同時にその副産物として建物下にピロティ空間が生まれることになった。 眺望を得た2Fとは対照的に、地表レベルでは河川堤防や防潮堤を周辺環境として受け入れ、このピロティ空間に対する借景、ではなく「借壁」として捉えてみる。 二つの堤防が接近する三角形の先端に建物を浮かべることで、それぞれの堤防ができるだけピロティ空間を包む囲いとなるようにした。ランドスケープの手がかりとして堤防を取り込むことによって、港湾地域にありがちな荒涼としてスケールアウトした屋外空間に人の居場所がつくられる。 建物下の空間はその建ち方、構造からも橋梁の下の河川敷のような空間にも似ていて、そこにある環境を受け入れ、新たな使い方を見つけ、時に手を加え、居場所としてつくり替えていく。余った敷地は将来建物が手狭になった場合に手を加えていけばいい。 堤防という好むと好まざるとに関わらず与えられた環境を取り込みながら、変わりつつある町の風景と変わらない海景の観測点としての橋の下に、再び海辺で過ごすための場所をつくっていく。

3

物件所在地

3