




DATA
- ビルディングタイプ
- 共同住宅・集合住宅・寮
- 工事種別
- リノベーション
- 延べ床面積
- 67.76㎡
- 竣工
- 2020-08
CREDIT
- 設計
- new building office
- 担当者
- 小俣裕亮, 伊志嶺千賀
- 施工
- ディーズクラフト、家具:イノウエインダストリィズ
- 構造設計
- EQSD 一級建築士事務所 三崎洋輔
- 撮影
- new building office
極薄の組積造 集合住宅の一室のリノベーション計画である。 典型的な2LDKの既存住戸の間仕切り壁を撤去することで、大きなワンルームとなった空間の中に、あらたに仕切りを設けて部屋を配置していくのではなく、住戸の輪郭が本来もっている空間のひろがりをできるだけ残しながら生活の場所をしつらえていくこととした。 リビングや寝室、台所などのスペースをそれぞれがちょうどよい大きさ、位置関係となるようにねらいを定めて、どうしても閉じる必要のある水まわりをおさめた立方体を、一旦はがらんどうとなった空間の中に置き、その周囲に円環状に連続した生活空間が生まれるような配置を検討していった。 水まわりを内包した立方体の壁はアートを掛ける壁としても堅牢で重量のある壁が望まれた一方で、壁を配置できるスペースが限定されていたため、厚さ50mmの押出成形セメント板を積み重ねる極薄の組積造とした。 住戸の外周壁に沿って設えられたラワン合板による家具の色の変化が、リビングや寝室といったそれぞれの場所の性格と対応し、ゆるやかにつながりながらも場所ごとに過ごし方に応じた固有の質をもつことを意図している。 中央に配置されたセメント板の組積壁によって、周囲の場所が分節されたりつながったりしながら、人だけでなく、光や風、猫も回遊する場所となることを目指した。 厚さ50mmの押出成形セメント板を、その標準的な断面形状にあるさねをかみ合わせるように積み重ねていき、端部は壁両端部に配置されたアングルに止めて固定する。中央の継ぎ目部分の面外方向の変位に対して、張力を導入したスチールロッドで抵抗させることで、限られた設置場所におさまる極薄の組積造壁とした。 スチールロッドはスラブ間距離よりわずかに短く製作しておき、床スラブのアンカーボルトを下側ベースプレートに通し、上側ベースプレートを天井スラブへ緊結したのちに床スラブ側のボルトを締め込むことでロッドに張力を導入する。ロッドによって直接支持されていないパネルも、支持されたパネルによって上下から挟み込まれることで間接的に保持される。ロッドによって直接支持されるパネルをバランスよく配置するために、パネルの目地が互い違いになるように積み重ねていった。スチールロッドは組積造の壁を支持する構造体でありながら、電気設備配管や家具・建具のハンドルのようなスケール感で、一室空間の中に紛れるように配置されている。 ものを積み重ね、倒れないように控え壁で抵抗する組積造という技術体系を、集合住宅の一室の限られた寸法の中で成立するように、身近にある材料の中から、薄く、かつ積層に適した断面形状をもつものを選び、これまでは控え壁が果たしてきた役割を繊細なスチールロッドに任命し直すといった技術の編集をすることで、力の因果関係を体現するものを生活空間に同居させることを意図している。
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