
CREDIT
- 設計
- 中川 宏文 / O.F.D.A + 山本 稜 / Spicy Architects
- 担当者
- 中川宏文、 山本稜
- 施工
- 富士エコトープミレニアム、建築:富士エコトープミレニアム 渡部英文、基礎:米田工業 米田悠貴、鉄骨:志村鉄工 志村正巳、木工:平林建築 平林規一、屋根:渡辺板金加工所 渡辺直、給排水衛生設備:高野熱設備(株) 高野新也、電気設備:山光電器 羽田昌樹、木製建具:勝俣木工 勝俣節郎、左官:外川左官 外川晋、塗装:渡一塗装 渡辺一哉、ガラス:明治屋 小野利明、厨房機器:えびす 木下博文、ネオンサイン:アオイネオン 荻野隆、富士山画壁画:中島盛夫、植栽:Tan 榎本薫
- 構造設計
- 辻拓也
- 撮影
- 楠瀬友将
・プロジェクト概要 喫茶檸檬は富士吉田市の、「富士吉田市本町通り活性化プロジェクト」としてつくられた。 富士山に日本一近いと言われる山梨県富士吉田市。市内の至るところから大迫力の富士山を望むことができ、中でも「富士山がきれいに見える商店街」として、富士吉田市本町通りはメディアからも注目されている。1000年以上続く繊維のまちとしても知られファッションブランドの産地として活気溢れるまちとして発展した。しかし、昭和50年代に入ると経済はグローバル化し、低廉な製品が国内に流通し衰退。通り自体は閑散とし空き家や空き店舗が増え、シャッター商店街と化しているのが現状だ。 本プロジェクトは、この本町通りを起点に地域の伝統産業を活用した事業と、地産地消を目指し地元の農作物を使用した運営を行い、空き家や空き店舗を活用し、内装のリノベーション、コンテンツ制作、PR力のあるクリエイターを誘致した長期運営を行い地域の更なる活性化を目的としたプロジェクトである。本プロジェクトを、地域の空き家等活用のモデルケースとしてPRすることで、新たな出店や移住、2拠点居住、ワーケーションの場所として、内外からのニーズや投資を増やしていくことで更なる地域の活性化を目指している。 ・設計コンセプト 同店を運営・プロデュースする、東京のデザイン事務所(株)れもんらいふは、富士吉田の資源と東京のクリエイティブが混ざり合う場所にしたいという思いがあった。 そこで我々は、ここに来る多様な人々の活動が街の日常の風景の一部として切り取られ、またある時には映画のワンシーンのような非日常の瞬間として映えるように、2つの舞台を設えることにした。 1つ目は、前面道路の本町通りに対する舞台である。基礎補強を兼ねた新たな床面は、通りより400mm程度高く設定している。そこに、左右対称、幅7,280mm、高さ2,400mmの大きな開口部を設けることで、通りに対して舞台ステージのようなフレームをつくりあげた。日々、店内で繰り広げられる様々な風景が、映画のワンシーンの様にこの通りに映し出されていく。 このステージはその他にも機能的に重要な役割を果たしている。ひとつは通りと店内の間に断面的な距離をうみだすことである。本町通りは道幅の割に交通量が多く、大型車両なども多く行き交う通りである。道路面より店内を少し高く設定することで、断面的な距離をつくり、店内に居る人が落ち着いて過ごせる環境を整えることを目指した。そして、もうひとつは、街を行き交う人々のストリートファニチャーとして機能する事である。軒下の段差の一部は、ちょうど椅子くらいの高さになっており、近所を散歩している地元民や、観光客が気軽に足を休める場所になることを期待している。 2つ目の舞台装置は、店内の半分の面積を占めるオープンキッチンとハイカウンターである。中で行われている作業工程がどこからもでも見渡すことができ、客とシェフの出会いを高めた構成とした。天井に用いた中空ポリカーボネート板は、光が反射するレフ板のような働きをしてキッチンとその活動を引き立てる。客とシェフの出会いや活動が引き立つように、ハイカウンター素材や形状はシンプルに留めた。s 舞台のような同店でシェフ、スタッフ、客が活気を生み出し、通りや街に賑わいが増える未来に期待したい。 中川 宏文 (O.F.D.A) + 山本 稜 (Spicy Architects)