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新旧の家々が混在する住宅地の一画。L字路の入り隅にぎりぎり2mだけ口を開けた敷地は、奥に入ると変形の楔形に奥へと伸び、ブロック塀でぐるりと囲まれていた。北と西は隣家がせまるが、東は里道を挟んで約3.6m上に道路と公園が隣接し、豊かな緑の借景が広がっていた。 幅3mのチューブを2回折り曲げ、水廻りが外にはみ出した平面は、内部が緩く三つに分かれると同時に、外部を適度な大きさの五つの庭に間仕切る。ひとつの内とひとつの外、ではなく、いくつかの内といつかの外。これらの内と外を既製品サッシを利用したピクチュアウィンドウが繋ぐ。視線は抜け、向こうが透け、ひとも往き来する。 内外どこの場所にいても、向こうと向こう、あるいは向こうの向こう、またその向こうを感じることができる。それはときには、内→外→内であったり、またときには、外→内→内、内→内→外であったり、また敷地の外、借景の緑や空の青にまで届いたり。 生活にとって外は内よりも重要かもしれない。外のありようが住宅のかたちを決定づける。 内にいながら外を感じる。外にでていても内を感じる。そうした個々の空間の連なりの合計がイコール敷地全体であるような。中間領域をつくるのではないやり方で内部と外部の新しい関係づくりを試みた。
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