
天井と床の変化がつくる2.5の領域 樹齢600年の大きなクスノキの前にカフェとオフィスが併設した空間をつくりました。カフェとオフィスは求められる空間的な性能も異なるので、しっかりと壁で仕切ってしまい、まったく別の領域にすることもできますが、時にはオフィスの打ち合わせをカフェでしたり、静かに食事をしたいときはオフィス的な静寂さがほしかったりと、人が空間に求めるものはもう少し多義的であると考えました。 カフェとオフィスの間を強固な壁で仕切るのではなく、天井と床の高さを段階的に変化させることで、2つの領域ではなく、2.5の領域をつくることができました。0.5の部分は、あるときはカフェの一部として、あるときはオフィスの会議室として使える中間領域です。思い返せば、こうした天井と床の変化によって領域をつくる、という考え方は、古い日本建築でも試みられていた手法であり、その再解釈と応用だともいえるかもしれません。
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