
PROJECT MEMBER
日本を代表する高級歓楽街、大阪・北新地に新たに誕生した焼肉割烹「きっしゃん 永楽町 松」。 1998年に完成した既存建物は、江戸時代中期の北新地の町並みを現代風にデザインしたもので、日本髪用の櫛を表現したステンレス製の庇が特徴的である。 このプロジェクトを進めるにあたり、まずはこの既存外観を引き継ぐことを前提に、日本の伝統とコンテンポラリーな価値観の融合を目指した。 外壁は、和紙を染めるかのように塗料を重ねながらぼかし、新たに作り上げた苔庭と併せて「原風景」を表現した。 扉を開けると、銀色の壁紙とヒノキの桟で囲われたアプローチが心地良くリズムを刻み、緊張感を解きほぐしながら期待感を膨らませていく。また、桟で縦のラインを強調することにより、天井の低さを感じさせない効果もねらった。 カウンターエリアは、日本の伝統芸能である「能」舞台を表現。本来の舞台なら絵で表現される松は、錫を使用したレリーフで新たな価値を創造し、アイキャッチとした。 4つの個室は、すべてのシーンを楽しんでいただけるよう、春・夏・秋・冬とシーン分けをした。ここでの桟は、引き違い戸の引手の役割を担う。 歴史ある周辺環境や既存建物と調和する新たなランドマークとして、ドラマティックな空間となった。
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