石山公園の屋根 Koe pizza

ビルディングタイプ
レストラン

DATA

CREDIT

  • 設計
    萬代基介建築設計事務所、サイン・グラフィック:artless Inc.、家具コーディネート:ACHT、イベント・エリアマネジメント:カタマラン
  • 担当者
    萬代基介,板谷優志,田村聖輝
  • 施工
    ELD INTERIOR PRODUCTS
  • 構造設計
    井上健一構造設計事務所
  • 撮影
    片村文人

岡山市が将来的なPark-PFI活用に向けた社会実験として、公園の一部を3年間、民間事業者に貸し出し屋外レストランをつくるプロジェクトである。敷地となる公園は岡山市の中でも観光・文化施設が集中するエリアに位置する。 まず何よりも環境が素晴らしい場所であった。そこでその環境の美しい断片をつなぎ、この場所に眠っている価値を最小限の操作で顕在化させるような建築の姿を考えることにした。 公園は後楽園の向かい、蛇行する旭川のすぐ外側にあるおかげで、川から気持ちの良い風が流れ込んでいる。その川風の入り口となるような場所に風に揺らぐ幕屋根を配置することにした。アルミ蒸着された膜屋根はしっかりと影を落としつつ、周辺の色を纏うことになる。また、公園の中には長い年月をかけて豊かに育った緑があったので、樹木の隙間を立体的に縫うように様々な高さ・大きさの屋根を浮かべ、緑の壁に囲まれる部屋のような空間をつくった。一方、既存の道は様々な人が通る交差点のような場所となっていたので、屋根を店舗の占用範囲や敷地境界を超えて道まで覆い、通りがかりの人も同じ屋根の下に知らぬ間に入ってきてしまうような大らかさを持った建築となるようにした。 この屋根は開閉式なので「建築」という扱いにはなっていない。その枠を外すことで、不要な境界や制度を無効化し、環境に対しては素直に振舞うことができるようになる。そうして生まれた「新しい豊かさ」。緑の中で川の風を感じながらワインを飲み、川沿いの美しい景色を眺めながら美味しい食事をする。食事をしている横では犬の散歩をしている人と店員さんが楽しそうに話をしている。誰のものでもない公園から、誰かが居る公園となり、「自分の」公園へと変わっていくような気配がある。

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