HOTO FUDO

ビルディングタイプ
レストラン

DATA

CREDIT

  • 設計
    保坂猛建築都市設計事務所、設備:yamada machinery office、環境:アラップジャパン、サイン:サン・アド
  • 担当者
    保坂猛、保坂恵、堀江康介(元所員)、多鹿祐司(元所員)
  • 施工
    早野組
  • 構造設計
    アラップジャパン
  • 撮影
    Nacasa & Partners Inc. KOJI FUJII

富士山麓の郷土料理ほうとうの店舗。 幹線道路に面した飲食店でありながらも山や空といった遠景にも属する、富士山に浮かぶ雲が着地したような建築を、風景の中の新しいシンボルとして位置付けたい。人が旅先でほうとうを食べることは、かなり原始的な行為であると考えた。この建物は、自然が自然のまま、人が人のまま関係づけられた、人と自然の建築である。 建物の構成は、自由曲面シェルが1枚から2枚に分岐し、2枚が1枚へ収束することでエントランス、客席、厨房、トイレの諸室を生成する原理から成る。建物の形状は、「逆吊りの原理」で算出した形状をベースに、温熱環境解析、光環境解析、雨水の流れ、通風等のパラメータースタディーを融合させ、建物に降り注ぐ自然の物理的影響が程よくバランスする形状を模索した。設計のプロセスは、自然とのあらゆる関係を微調整することであったともいえる。躯体はRCサンドイッチシェル構造である。RC躯体とGRCで硬質ウレタンをサンドイッチし、強度と断熱性を高め長寿命なシェルを実現している。 この建物には極寒時用の小さなストーブ以外に空調機器はない。日中は曇天時でも自然光のみで適度な明るさを確保している。夜間の照明は虫が明るさを感じにくい光の周波数、光源の位置、最低限の照度とした。ほとんどの季節でオープンエアーとし、曲面アクリルサッシが開いた状態で、3次曲面の躯体が地面にかかっただけのような、それでいて何もない屋外よりも快適な、屋内のような屋外のような建築の中でほうとうを食べる。 雪が降れば雪に埋もれ、霧が出れば霧にとけ込み、日差しの強い日はコントラストの強い日陰の空間となり、曇りの日はどんよりと外とつながる。屋外の自然を受け入れたり受け流したりして、建築と自然がひとつの連続体となって建築自然現象とでもいった状態となることをイメージした。

物件所在地

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