泸溪河 新概念店

ビルディングタイプ
アパレル・雑貨

DATA

CREDIT

  • 設計
    小大建築設計事務所

泸溪河は売り場に併設している厨房で毎日焼き菓子を製造している、鮮度の高い種類の豊富な中国の伝統的な焼き菓子(パイのような餅)が人気のお店です。 リニューアル前の店舗空間は中国庭園の要素が強い造作と、コーポレートカラーの深緑を中心にデザインがされており。焼き菓子を売る店舗という構えは満たされていたものの、チェーン店特有の画一的な空気があり、現場製造の焼き菓子を売りにしているという丁寧な手仕事をしているという人の温度を感じるような雰囲気が物足りないと感じていた。そこで私達は空間にも商品のお菓子作りと同様に、人の手仕事が感じられることをテーマにして設計を進めることにしました。 床の三和土、壁の珪藻土は職人の左官仕事によって自然な風合いのムラが生まれます。柱周りには1つ1つ焼きムラがある素焼きレンガを選びました。人間が1つ1つ作る材料や、職人の技が表情となってでてくる仕上げを使うことで、直感的に空間の背景に作り手の存在を感じてもらいたいと考えました。ピカピカで美しいがどこか無機質な空間ではなくて、心地よく美しい空間が人の気持ちのこもった手仕事で作られていると感じられる空間を目指しました。 また、中国の民芸の職人技で印象にあるもので、以前中国の成都に訪れた際に見た繊細な竹細工の工芸品を思い出しました。特に印象的だったのが瓷胎竹编という湯飲みなどの陶器を熱や衝撃から守る為に、竹を細く切った繊維で編みこんだ竹編みのケースです。この‘大切なものを包んで守る’という工芸品から発想を得て、真っ白な人工大理石を竹の繊維で編み込んだ商品陳列台をデザインしました。 効率性、耐久性、掃除のしやすさ、商業施設では防火等級の見直しなど、日に日に人が集まる空間に対して制限や条件は厳しくなっていくばかりです。そのような潮流の中だからこそ、模範的な建材だけでは生まれない、使い手の心地良さについて向き合っていきたい。

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