
自然を引込む このプロジェクトは、長野県軽井沢町の自然豊かな環境の中に、74室の客室とゲストが自由に寛ぐことのできるパブリックエリアのある宿泊施設をつくるというものである。この場所固有の魅力は、唐松や紅葉でつくられた自然豊かな林であり、その豊かな自然をゲストが身近に感じることが、ホテルの最大の魅力になるのではないかと考えた。それらを建築に取り込こむこと、自然環境に調和し、一体化するような建築を実現できるかということがテーマとなった。 自然環境を建物の空間体験として取り込むため、中庭型の配置を採用している。建物の中心となる中庭には、大きなデッキテラスを設け、自然環境を積極的にホテルに引き込む計画としている。また、構造形式についても、木造を採用し環境へ配慮した建築計画としている。 ホテルのパブリックエリアは、中庭をぐるりと囲い込むように設け、中庭の自然を常に近くに感じられる空間としている。林に見立てた木材の家具、壁面には中庭の樹木が写り込むスリットミラー、木漏れ日の様なむらのあるマテリアル等を採用し、中庭と一体化した空間となるよう配慮している。大きなワンルーム空間の中に、コーヒーを提供するカフェ、本を読むライブラリ、庭を眺めるソファスペース、ゲームやデスクワークのできる大テーブル等、質の違う様々な居場所を設けることで、ゲストが自由に心地よく過ごすための空間を実現している。