
コーヒーショップのインテリアデザインである。 敷地となる空間は大阪を代表するオフィス街にあり、足場用単管パイプをファサードに持つビルの1階に位置する。 前面には多くの人々が行き交う道路と喫煙スペースがあり、平日には必ずと言っていいほど人が集まる、いわば「ちいさな人だまり」ができていた。 既存の建物は、建具をすべて開け放てば前面道路と結び付き、外部空間へと変化するように感じられる可変的な空間であった。 多様な個性が集まって働くオフィス環境の中、道路や公園などに設置されるキオスクのようなコーヒースタンドをつくることにより「ちいさな人だまり」を発生させ、前面の「ちいさな人だまり」と繋ぎ、「おおきな人だまり」へと成長させることができないかと考えた。 そこで前面道路と結びつくように既存建具からセットバックして小さなコーヒースタンドを挿入した。 コーヒースタンドはモルタルを研ぎ出したカウンターと少しツヤのある天井面で構成し、そこに特徴的な照明を取り付けることで天井面に光の幕をつくりだそうとした。 工事中、壁や天井に貼られていたビニルクロスを取り除くと、今まで塗り重ねられた壁や内部に取り込まれた外壁のタイルがそこに現れ、敷地周辺の雑多さを連想させてくれた。 偶発的に現れた仕上げと、コーヒースタンドとの境界にファサードを構成するかのような光の幕によって、外部空間に設置されたキオスクを彷彿とさせることができたのではないだろうか。 このコーヒースタンドが休息の場となり、人と人、まちとオフィスを繋ぐハブのような存在になることを願う。
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