本棟の家

ビルディングタイプ
戸建住宅
1
99

DATA

CREDIT

  • 設計
    マチデザイン 薪ストーブ:ディーエルディー
  • 担当者
    新田美紀、新田有平、島田由子(襖絵)、飯沼英樹(懸魚)
  • 施工
    千広建設
  • 構造設計
    吉田一成構造設計室

 安曇野の田園地帯に建つ住宅である。敷地の周囲には屋敷林があり、すぐ横に農業用水が流れ、周辺には本棟造の住宅が何軒か建っている。本棟造は長野県の中部から南部に見られる民家の形式で、緩勾配の切妻屋根、妻入り、棟飾り (雀おどし)、ほぼ正方形の平面などを特徴とする。この地域では、古い住宅はもちろんのこと、新しい住宅も本棟造で多く建てられており、この住宅も本棟造をベースにしている。  本棟造は強い全体性をもった形式だ。大きなひとつ屋根の下にすべての室が収まる。緩勾配の切妻屋根により内部空間は、中央が高く暗く、周辺が低く明るい。この住宅では、天井を屋根勾配なりに張り、間仕切り壁を天井と切り離すことで、屋根に覆われた全体性をさらに強調している。その強い全体性の中に、つたの実、桜、市松などが描かれた襖絵、既存小屋解体で得られた古材、意匠を変えながらあちこちに配置された階段など、個性の強い細部を散りばめ、全体と部分が拮抗しながらも、バランスをとるよう計画した。  建物の顔となる妻面の輪郭は、内部空間の断面で決定され、外観にも本棟造の強い全体性が現れる。また屋根がそのまま延長し深い庇となり、立面の重心は低くと下がり、堂々とした印象となった。立面がつくる本棟造固有の強い全体性と拮抗するように、外観にも、懸魚、階壁下見板の飾り切りといった個性の強い細部を各所に散りばめた。

PROJECT MEMBER

施工
千広建設
構造
延床面積
151.49㎡
竣工
2014-03
1