
PROJECT MEMBER
本計画では、地域産材を活用して小学校の木質化を行うことで、教育環境の改善を行うとともに、地域産材の普及啓発の推進を目指しました。小田原市は、地元の木材関係事業者による木材ストックが少ないことへの対応として、調達基金制度を使い地域産材を先行取得することで、安定した木材供給ができる体制づくりをしています。本計画では、40×120×4mの小田原産の杉・桧材が支給されました。前年に製材され倉庫で保管されていた材には、乾燥具合のばらつきや虫食い跡が見られました。小田原市はアカネトラカミキリによる虫害の深刻な被害地であり、木材生産量の約7割がC材としてチップなどに利用されています。このような材を、ただの低質材とせず新たな需要につなげることも課題でした。以上から、支給材の厚みを活かした表面加工(なぐり・浮づくり)、乾燥収縮による反りを吸収する下見板張り、カラーパテによるカラフルな虫食い跡の表現、木目を残しつつ塗られたPOPなカラーなど、さまざまな手法を用い、学校建築における木材利用の新しい表現を探りました。 1階では、地域に開かれた学校とするために、昇降口まわりの空間を一体的に木質化し、地域の自治会と共同で利用する多目的室を新設しました。2階〜4階では、単調な廊下にポケット状の空間を設え、木で包まれた新しい居場所としました。教室と廊下のパーティションは既存フレームを再利用して木質化しています。