湖東の家

ビルディングタイプ
戸建住宅
2
119
日本 滋賀県

DATA

CREDIT

  • 設計
    烏野建築設計室、植栽:igune庭、襖紙:野田版画工房
  • 担当者
    烏野良子
  • 施工
    建築工房中野
  • 構造設計
    ライン設計室
  • 撮影
    笹の倉舎 笹倉洋平

敷地は琵琶湖東部の水郷地帯。集落内には多く自噴井戸をもつ家があり、絶えず水の音が聞こえてくる。その流れは水路で交わり、大きくなりながら、湖へ向かって流れていく。敷地は集落の南端、広大な田園地帯に面し、東には山並み、西には湖の向こうの山々も望むことができる。秒針のような水の流れは人々の生活を潤し、田畑の営みを助け、太陽と共に脈々と続く土地のリズムを作っていた。 建主は西の景色を気に入り、湖に向かって開く計画となった。抜群のロケーションの中でも湖側に沈む夕日は格別に思えた。現地の夕暮れを、西から差す直射光と湖からの明るさに加え、インナーテラスの土間からの反射光を天井でとらえることにより、夕陽と呼応する空間が作れないかと考えた。 まず建物を西の景色を望める位置まで南下させ、南北に大きな屋根をかける。その妻面から夕方太陽の光を入れていく。スケールの大きな運動をできるだけダイナミックにとらえるよう、居間・食堂・台所の天井は分節することを避け、大きなワンルームとしている。その西側にインナーテラスを配し、より天井を大きくし、また西日の緩衝エリアにもなっている。インナーテラスからは外気を感じながら、直接日没を見ることができる。居間のソファからは直接太陽を見ることはなく、西から射す光を天井の杉板に当てながら宅内に導くことで、杉の赤みで、夕陽をより赤く染める。 建物東側は、南向きのサンルーム・主寝室を並べ、その北側を水廻りとし、屋根が高くなった二階部分は子供室になっている。湿気の多い地面からを遠ざけるため、1階床高は高めに設定し、家と庭とつなぐ役目を南側に続くコンクリートのテラスが担っている。 水はけが悪く粘土質な敷地表土は、地面を敷地周囲より高く盛土し、大きく勾配をとることで、雨水が滞留しないようにし、クローバーで覆った。 「くらす」という言葉は日が暮れ暗くなることを感じることにその語源があるそうだ。ここには豊富な水が作り出したすばらしい環境がすでにあったが、その全てが赤く染まる時間、辺りと一緒に自分たちも染まることでそこと一体になろうとした試みだった。そして、夕暮れに建築でアクセントをつけることで、そのあとの静けさをより引き立てることはできないだろうかと考えていた。

物件所在地

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