
平和の軸 横須賀にある平和中央公園のリニューアルに伴い、平和の象徴であり、そして今では消えかけてしまった平和という思いを誰もが思い出すことができるモニュメントを設計した。 公園の歴史を紐解くと、戦争時に使われていた米ヶ濱砲台跡に造られた公園である。 このモニュメントは日が暮れると平和の光を天に放つ「光台」となり、揺るぎない平和の軸を表出させる。 1000mを超える光は、遠く離れた場所でも見ることができ、日常生活の中でも平和の思いを感じることができる。 いつも見ている風景に現れる光の柱は、見ている人の視線を上げ、気持ちを前向きにする。 災害時には町が停電しても発電機で照明が点灯できるような仕組みとなっており、広域避難地となっている公園へ灯台のように人々を導く。 横須賀の風景には平和の軸が加わり、新しい風景として人々の生活を支えてゆく。 モニュメントの天井や中央の円柱には多くの円が施されている。 円には古くから「無限、永遠」という意味があり、永続的な平和の願いを込めて市民の方々に描いて頂き、 データに変換して取集したものを、レーザーで一つ一つ天井や円柱に刻んだ。 刻んだ円の配置も公園の高台に吹く海風を使い、パターンを作成した。 また、砲台跡のレンガに印字されていた桜の紋を3Dスキャナーで取り込み、コンクリートの土台のテクスチャーとして再現し、人々の平和への思いと土地の記憶をモニュメントに刻んでいった。 日中は日光が降り注ぎ、人々が描いた円から漏れる光と目の前のひらけた景色から平和を感じる場となる。 夜間は人々の平和の願いがこもった小さな光の円で満たされ、高台から見える家々の光の粒と調和し、世界中の平和の言葉が浮かび上がる。 平和を感じ、平和を思い出すモニュメントとして人々に愛されることを切に願っている。