アキヤハウス

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    矢部達也建築設計事務所 基本設計:白髪誠一 実施設計:U'plan
  • 担当者
    白髪誠一(大阪工業大学)、尾崎光(U'plan )
  • 施工
    下川工務店
  • 撮影
    傍島利浩

波乗りを生きがいとする夫婦(+子供1人)のための小住宅。 ポイントのすぐそばに位置し、窓からは波の状況がうかがえる。 都内から葉山、そしてここ秋谷へと移り住み、海に近づくにつれて家は小さくなった。 小さくなったのは与条件(予算)によるものだが、結果的には、生活スタイルにぴったりフィットした。 旗竿敷地の旗の部分、その真ん中に2間×5間(=10坪)の2層のボリュームを置いた。 と同時に、海側と隣家側それぞれに奥行約1間の余地ができる。海側は2階にバルコニーが張り出し、軒下となる1階は物干しや物置(バルコニーの手すりが下りてきてハンガーとなる)、隣家側は間近に建つ隣家との緩衝帯として働く。 建物の1階は車庫、玄関を兼ねる物置、浴室。2階はリビング、キッチン、寝室(可動間仕切りで一部客室にもなる)、そして上部に小屋裏物置をもち、ここが子供室になる。 都内への変則時間帯の通勤も含めて生活にクルマが欠かせない。毎晩充電もする。竿部分に置いていては用を足せないので建物ボリュームのなかに入れた。車庫はいわばクルマ室。 玄関兼物置には遊び道具、自転車、衣類、書類などあらゆるものが収納される。平面的には足りないので高さで補った。ロングボードを立てることができる。浴室上部も収納に活かした。浴室へは外から直接出入りができる。 2階のわずか10坪(+小屋裏物置4.5坪)に主な生活スペースが詰め込まれている。最小限といってもよい狭さ。そして、どこからも、相模湾の波がみえる。 この家はすこし歪だ。小さいわりに背が高かったり、サーバントスペースの方が広かったり、諸室の大きさのバランスも。住人の生活スタイルに導かれてそうなった。もし仮に「大きな」家であれば、基本セットとでもいうべきものにオプションとして付加される機能、それらを「小さな」家で実現するには、家のかたち(形態ではなく構成)が変わらなければならなかった。家が変異したのだ。

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