SHN 桜並木を望む住宅

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    池下成次建築設計室一級建築士事務所 設備設計:牛島設備設計 金属板屋根/樋:テクノスライフ 外構:佐藤建販
  • 施工
    河野建設
  • 構造設計
    エム企画
  • 撮影
    イクマサトシ

建築場所は、帆柱山に源を発し洞海湾へ注ぐ金山川沿いで、都市公園「瀬板の森公園」を中心に良好な市街地環境形成をはかる地区計画の住宅専用地に位置します。敷地は、東側を金山川、西側は静かな生活道路に接しています。特に金山川界隈は、30年程前の河川整備工事で植樹された桜並木と遊歩道が整備され、地元による河川愛護活動もさかんで美化清掃活動や各種イベントの開催、両岸の遊歩道は花のボランティア公園として花壇に季節ごとの花が彩られるなど、地域の方々に育まれ親しみある環境です。                  計画にあたって、建築主の住宅や生活への想いを実現させることとこの周辺環境を尊重しながら住宅はどう向き合うべきかを大きなテーマとしました。まずは、敷地が充分な広さであったことから、建築主からの平屋建てのご要望もあって周辺から遊離せず建物の高さをおさえた水平方向にのびのびした建築を思い描きました。 住宅の形態は、一部2階のほぼ平屋とし外壁をセットバックさせ、東西両面を軒方向とした大きな切妻屋根で全体を覆ったもの。その軒高さは、出来るだけ低くすることで夏期の斜光受面を少なくし、周囲への視覚的な圧迫感を抑えることにしたのです。特に川側は、遊歩道から花壇、コンクリート打放し塀、東庭、軒下空間とし周辺と内部までをなだらかな断面で連続させ、外部仕上げも鏝押えの漆喰系塗壁や補修なしのコンクリート打放し塀で表情のある素材を用い、量と質のグラデーションで周りの環境と住宅の存在を馴染ませることにしました。 平面計画は、プライバシーを守りつつ開放的であることを念頭にいくつかの中庭をもつ形式。「桜並木の借景や開放感を重視した東庭」や「主な採光面で門から玄関までの露地空間となる南庭」、「プライベートなバスコート」など場面に応じて配役させた外部空間が存在します。家族が集い生活の要となるファミリースペースは東庭と南庭に挟まれて、風や光、眺めが十分に取り込める場所とし、諸室はこのファミリースペースを中心に機能的なつながりを保ちつつ、周囲の風景や庭との関係を開口部の位置やサイズで調整しながらその場に相応しい室内空間に整えました。将来に家族が増えた場合やゲスト用に備えた2階予備室は、川の水面や桜並木、行き交う人、遠景の瀬板の森が望め1階とは異なった風景を享受します。 軒高をおさえながら水平にのび、周囲になだらかに接続する建築の構えは、周辺の環境に向き合うというより寄り添うような姿を連想させます。また、住宅には、隅々まで自然や風景の恩恵をうけることによって、外部環境と生活が切り離しにくいやわらかい結びつきを潜在させました。この計画を振り返り、こしうした寄り添う姿勢と隅々にまで行きわたる外部との結びつきによって、周りの環境を尊重したここでの住まいのあり様を示すことができたと思っています。

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