THE RAYSUM

ビルディングタイプ
その他商業施設

DATA

CREDIT

  • 設計
    株式会社久保都島建築設計事務所、プロジェクトマネジメント:バンズシティ株式会社
  • 施工
    株式会社東急Reデザイン
  • 撮影
    小野寺宗貴

「人間性さえ回復させるリゾートを創る。」というコンセプトをもとにゴルフ場施設全体を段階的にリニューアルするプロジェクト。クラブハウス棟のフルリノベーションを行った。ゴルフ場というバブル時代を象徴するような施設から、リトリートを目的とした幅広い顧客を迎え入れる施設となるよう、大幅にコンセプトを転換し、デザインの検討を行った。 ドーム状ロビー、球体型瞑想サウナ、浮遊する直方体ロッカーといったプリミティブな形の空間を分散配置し、木材の仕上げと光のデザインにより非日常感を生み出している。使用する素材はグレー色左官塗装と木材に限定して、装飾的なデザインを排しながらも、光のデザインを施すことによって、大人の休日にふさわしい上質な空間をつくることを目指した。 エントランスの受付カウンター奥のカフェスペースは、既存の曲面天井を生かしながら、装飾を廃してアーチ開口で領域を分け、木張りのドーム状空間とした。エントランスからゴルフコースまで見通せるこのカフェスペースは、自然光の床からの反射を受けて明るい光が充満し、来場者を迎え入れるウェルカムスペースとなっているだけでなく、このクラブハウスとゴルフコースを視覚的・体験的につなぎ合わせる空間にもなっている。 既存建物の特徴であった2階の大屋根のトップライトは暑さ対策から塞がれてしまっていたが、人工照明を加えて安定した光にするとともに、反射板を加えて天井面を照らすことで、原設計の特徴を継承するデザインとした。 クラブハウス棟の1階にあった既存の大浴場は、室内部分については浴槽の位置をそのままに、施設全体の素材感と合うよう木の風呂椅子と木デッキ、グレーのタイルと木による空間として丁寧に仕上げを選定することでイメージの大幅な更新を行っている。浴室の洗い場はシャンプー類やカランが目立たないように掘り込み壁を設け、間接照明を施した。 露天風呂には格子の日除けとデッキを設け、新設で球体状のサウナをデザインした。間接照明に照らされた水風呂と球体サウナは一人で瞑想ができる個室タイプのプライベートサウナである。球体であることで、天井付近の熱だまりを小さくして効率よく部屋全体を温めることができる。離れのような特別感のある場所をつくることで、浴場でのスパ体験がより充実したものとなった。 ロッカールームは、ゴルフウエアやバスローブなどに着替えて非日常への切り替え空間である。金属製のロッカーが並ぶ無機質で無粋な空間とならないようなデザインが求められた。ロッカーは、一見してロッカーとわからないよう、細い木を全面に張ってロッカー番号とキーだけのミニマルな形状とし、間接照明を用いて浮遊しているようなデザインとした。 ロッカールームの奥には前室の壁に直接描かれたアートペインティングがのぞき、木々の中で過ごすような温かみのある空間となっている。 クラブハウス棟2階には会員限定のリビングを設けた。軽い食事やお酒が楽しめるカウンターキッチンと、バイオエタノール暖炉のあるダウンリビング、ピアノ生演奏などが楽しめるステージのあるゆったりとした空間である。床から壁、天井を木張りの帯状の一体的な仕上げとすることで、包み込まれるような安心感のあるデザインとなると共に、既存の柱や梁などの視覚的情報を減らしている。向かいのフィットネスジムとリビングを行き来したり、バスローブやリラックスウェアで、自宅にいるような寛いだ雰囲気で過ごせる場所となることを意図している。

物件所在地

8