House FKB

【素のままの巣・中古マンションにおける躯体の価値】 築40年の中古マンションのリノベーション計画です。中古マンションにおいて、解体後に躯体の状況を確認することは一つの儀式として確立されつつあると体感します。ユーザーは、中古マンションの躯体を、解体することによって数十年の年月を得て「発掘される」魅力的な仕上と認識しはじめているからです。昨今は多くの人がその儀式を通して、お世辞にも綺麗とは言えない荒々しい躯体に対して魅力を感じ、計画に取り入れることが一般化してきました。 今回のお部屋は、その中でも特に特徴的なコンクリート壁式構造でした。間取りは既に区切られており、計画の自由さは減少していましたが、代わりに面積が大きく魅力的な躯体を計画に取り入れることが前向きに感じられました。 【ダブルヴィンテージ】 住まい手は、ヴィンテージ家具をコレクションしており、インテリアの主体が家具になる様に計画しました。 建築内装が背景になりきるホワイトキューブでもなく、馴染みを重視したデザインにしました。表情の有る単色をベースに素材の主張を調整しました。針葉樹合板を木目を残した塗装にしたり、細幅のオークフローリングはあえて無塗装にしました。そして、上記の躯体も塗分けをしながら計画に取り入れ、全体がしずる感のある部屋になるように設えてます。結果として、クライアントの持つ家具達が、あたかも永くこの部屋に居座っていたような空間に出来たかと考えます。 これからは、共に歳月を経ることで素材の価値が向上していくことを目指しています。 【変化する住まい方のベーシック】 住まい手は家族が増えたことに伴って、既にローンで購入していた同じくリノベーションした中古マンションを売却して、このお部屋を手に入れました。中古マンションが流通性の高い不動産に成長したことで、家を購入することが人生の一大イベントではなく、住まいをライフプランに合せてフレキシブルにステップアップできる時代がベーシックになってきていることを感じることが出来ます。

チーム

メンバー

クレジット

  • 設計
    リノベる、内装:有限会社 的場建設、家具:山田家具、床材:ギャラップ
  • 担当者
    リノべる 天野慎太郎
  • 施工
    リノべる株式会社
  • 撮影
    Takuya Furusue

データ