早瀬庵

大野の茶室は、新しい木質建材として注目を集めるCLT 及びLVL の厚板を用いた都市木造プロジェクトである。構造体の全てに木質の厚板を用いることで現場作業を省力化を図り、厚板木造プレファブ工法のプロトタイプとして計画された。 平屋の建物で、もみじ饅頭の手焼き体験が行えるエリアと上田宗箇流の茶室によるエリアが路地を介してつながる構成となっている。内部空間は173 ㎡であるがLVL 厚板の壁にぐるりと囲まれた中に茶室やそこに至るシークエンスを作る路地、中庭を取り込むように計画されており、それらを含めると外形としては262 ㎡程度の建物となる。ロードサイドに立地し周囲に建物が立ち並んだ環境にあっても、茶室にふさわしい落ち着いた空間を実現する平面計画とした。 壁には厚さ150mm のニュージーランド産ラジアタパインLVL 厚板を、屋根には桧杉ハイブリッドの国産材CLT厚板を用いている。手焼き体験室では6m のスパンを厚さ150mm のCLT を用いているのに対し、茶室においては厚90mm のCLT とビルトT によって構成された鉄骨梁のハイブリッドによる構成とし、10m を超えるスパンを支えるととともに、立礼式茶室においてあらわしになったビルトT によるフレームが空間にアクセントを与えている。

クレジット

  • 設計
    ビルディングランドスケープ
  • 担当者
    山代悟、奥本卓也、川中彰平、中村朋世
  • 施工
    五洋建設 中国支店
  • 構造設計
    桜設計集団構造設計室
  • 撮影
    新良太

データ