OGU MAG +

ビルディングタイプ
その他住宅
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110
日本 東京都

DATA

CREDIT

  • 設計
    Atelier Asami Kazuhiro / nmstudio / Studio GROSS
  • 施工
    東協建築株式会社
  • 撮影
    奥村浩司 (Forward Stroke inc.)

荒川区東尾久の木造店舗付共同住宅を改修し、アートを中心とする複合施設とした計画。既存建築の1階は間口の広さが優先され耐震性能が低く、2階は横並びに3住戸が配置された採光に恵まれない閉鎖的な空間であった。本計画ではこの課題を解消しつつ、荒川区の街づくりに取組む3組の建築家が、オーナーと協働で、地域住民を交えたワークショップを通し既存建築の新しい活用方法を探っていった。 街と一体となるアート空間: 既存は、ギャラリー、店舗、共同住宅が個別に存在していた。本計画ではギャラリー、カフェ兼アトリエ、シェアハウスを吹抜や開口によって空間を繋ぎ、また尾久銀座商店街につながる人通りの多い道に対して大きな引き戸を設け、街に積極的に開く計画とした。街と建築が一つの「OGUMAG+」となって地域と連携することを試みたのである。地域住民は日常的にこの場に集い、より気軽にアートに触れる。入居者であるアーティストは吹抜を介して地域住民と交流し、作品を創り、ギャラリーでの展示を行う。アーティストと地域住民の交流によってこの場でしかできない作品が生まれ、地域にとってアートがより親しみのあるものとなることを期待している。 十字の壁とヴォイドによる空間構成: 1階は耐震補強を兼ねた十字型の壁と開口によって空間を緩やかに分節し、展示のみならず、ワークショップや建物全体を使ったイベントといった、フレキシブルな利用を可能にしている。既存のギャラリーには袖壁を挿入し、プロセニアム型の舞台としても機能するようにした。 2階のシェアハウスでは、十字型の共用部によって入居者を繋ぎつつ分節することを試みた。十字の交差部はダイニングキッチンとし入居者同士の交流を促し、袖の部分は入居者が創作活動を行う場、サンルームには吹き抜けを設け、入居者の生活を街に開く。個室は隅に3部屋を設け採光を確保し、同時に入居者同士の生活音が気にならないよう配慮している。外皮周りは樹皮断熱材等木質系の素材で仕上げ、十字を形成する壁は木質空間に浮かび上がるよう白塗装で仕上げている。 2つの十字は、既存建築の持つ各階の不整合な間取りに最小限の操作を加えることで生まれた対照的な空間である。1階の壁は空間を分節しつつ繋ぎ、2階のヴォイドは住民を繋ぎつつ分節する。既存を読み解き新たな形を与えることで、利用者や入居者がまちに根差しながらより豊かで多様な過ごし方ができる、まちの新たな居場所となることを目指した。

物件所在地

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