「たまご専門 本巣ヱ 東京本家」は、東京麻布十番で名物『謹製 濃厚たまごパン』を製造販売するお店である。「濃厚たまごパン」は、こだわりの生産者の原料のみで作られ、特に主な原料となるたまごは「濃厚たまごパン」の特徴である濃厚で滋味深い味わいに適したものだけをこだわり抜いて選んでいる。 お店のデザインも「たまごへのこだわり」というお店の信念を大切にしたいという想いからお店全体を鳥の巣に見立てた。たまごを大事に包むような、まるで鳥の巣の中にいるような気持ちになる空間を作り、その空間を見ることや触れることで「たまごへのこだわり」を感じてほしいと考えた。この鳥の巣づくりには鳥たちが手間隙かけてつくるように、色々な形状の枝を選りすぐるところからスタートし、現地での枝の組み方、重ね方などにこだわり、試作を何度も重ね、つくり上げた。仕上げは照明で光の強弱による奥行き感、部分的に間接照明を取り入れることでインパクトを出し、小空間でありつつも、迫力のある空間をつくり上げた。 「濃厚たまごパン」を魅せる販売カウンターは、ショーケース部分をガラスのみで作り、その存在感をなくすことで「濃厚たまごパン」が浮いているような演出とした。カウンター本体をモルタル系で仕上げることで、シンプルでありつつも素材感を出し、たまごの黄金色が映えるようにと考えた。 ファサードを全面ガラス引戸とすることで、外からでも店内の鳥の巣デザインを覗けるようにし、オープンした今では、道行く人が必ず目を止める街のオブジェ的な存在となっている。