麻布十番の集合住宅[ASTILE 麻布十番]

ビルディングタイプ
共同住宅・集合住宅・寮

DATA

CREDIT

  • 設計
    辻昌志建築設計事務所
  • 担当者
    辻昌志、卯月裕貴
  • 施工
    株式会社 三恵建設
  • 構造設計
    多田脩二構造設計事務所
  • 撮影
    山内 紀人

1階と地下に飲食店舗、上階を6戸の賃貸住戸で構成する都心の集合住宅。駅近の狭小な敷地条件において、「奥」や「間」を創出すべく、路地や空地を建築内部に組み込み、商・住が共存する豊かな都市型住空間の実現を目指した。敷地は大通りから一本中に入った通りにあり、集合住宅、事務所、飲食店舗などが混在しているが、落ち着いた雰囲気もある場所である。その空気感に寄り沿うように、店舗は「大・小」、住戸も「20・35・75m2」と特徴を持たせ、属性の違う「商い」や「人」が自然と集まるよう意図した。敷地は奥に深いため、前面道路側に緑の豊かな北側と南側のヴォリュームに分割した。中央の空地により住戸間界壁を無くすことができ、採光・通風の確保とともに相互に独立性の高い構成を実現している。最上階のメゾネットでは、南北をつなげて一階同様、路地的な性質をもった住戸となっており、南側突端には抜けとなるバルコニーを設けて居間を拡張している。隣家との僅かな離れの中にも、光や景色を十分に取り込むため、腰高の低い窓を多く採用し、明るく開放的な室内とした。またファサードのずれを伴う開口部は、狭い間口の中で避難計画を成立させつつ、内外の見え方に変化を与えている。一階のピロティーでは、四隅が開く構造壁の配置とし、路地「奥」に垣間見える店の情景と、来客や住人が行き交う「間」が重なり、互いに気配を感じる場所を思い描いた。建築と一体とした円形の照明は街灯のような役割となり、「街角」を想起させる街とつながる空間とした。