眉月 -晴れ着の丸昌 横浜店 1階売場-

ビルディングタイプ
アパレル・雑貨

DATA

CREDIT

  • 設計
    堤由匡建築設計工作室
  • 担当者
    堤由匡
  • 施工
    オオイバシ
  • 構造設計
    DN-Archi
  • 撮影
    矢野紀行

創業55年の横浜の貸衣装店の1階売場、階段室、ファサードの改修設計を担当した。昨年の2階列席衣装売り場に引き続いてのプロジェクトとなる。主に結婚式用のフォーマルな衣装売場であった2階売り場に対し、1階は成人式用の振袖、卒業式の袴、七五三の3種類の衣装を展示する。 改修前のファサードはカーブしたタイル貼りであり、メインの商品である和服のイメージに調和していなかった。そのため門型の工作物を新設して曲面壁を隠し、豆砂利洗い出し仕上げによる一直線の壁を作り、重厚感と高級感を持たせた。階段室に面する箇所はピーラーのルーバーを設置し、緩やかに視線を遮っている。その階段室の室内壁は米松の不燃リブパネルが取り付けられ、シャープな垂直性を強調し、天井の金箔クロスが非日常的な高級感を醸し出している。 室内では異なる客層が混在しないように、中央の売場を四角く入れ子状に囲むプランを考えた。中央の囲まれたエリアが袴売場、外周部の2辺が晴れ着、1辺が七五三と、外周部奥がミーティングエリアと明確にゾーニングすることができる。什器の高さは1.8mに抑え、圧迫感がないようにしている。ミーティングエリアは帯と小物の棚に面しており、選んだ着物と合わせやすいように配置している。小物棚は七宝の組子にシナ有効ボードを組み合わせ、自由な展示と意匠性を両立させた。 天井の梁間には緩いアーチを架け渡し、端部を先細りさせることで三日月のような軽妙なストラクチャーを作り出せないかと考えた。アーチは突板張りとし、ヴォールト部分は白塗装として間接照明を当て、ストラクチャーを浮き立たせている。三日月アーチは入り口から奥まで連続し、外部からの視線を一気に引き込む。 2階のデザインがフォーマルさを意識したのに対して、1階は大らかで柔らかな空間を作りたいと考えた。反復する2列の切長のアーチを見ていると、眉を引いているようにも見えてくる。そこで三日月の別名を拝借し、本プロジェクトを「眉月」と呼ぶことにした。

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