路地の空に開く家

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    プラウム建築設計事務所
  • 担当者
    坂井良二

敷地の東側は狭い路地に面している。 「昔からある路地」の上には「余白」があることに気づき、その路地の上の「余白」を活かそうと考え、建物の五分の一程を中庭とし路地の上空から採光を取る計画とした。 外に面しては採光目的の窓は設けずに、採光や通風、広がりは中庭を介して「路地の空」から間接的に取り入れる計画とした。 敷地は下町であり周辺には狭い路地に沿って建つ木造の長屋が点在している。古くからあるこの路地は道路ではなく隣同士が敷地を出し合って路地として使っている 。かつての既存五軒長屋の3軒分を切り取り、そこに間口約5m、奥行き約12mの二層分の木造を計画した。 外に面しては採光目的の窓は設けずに1階の採光は中庭を介して「路地の空」から間接的に取り入れる計画とした。 しかし外に面して窓のない家は近隣からは遮断された閉鎖的なイメージをもたれてしまう。 そこで「テーブルに置かれたの箱」のように、指で押したら動かせるような「軽やかで動かせるような安心感」で閉鎖的なイメージを取り除きたいと考えた。それにより住まいと街区をつなげる利他的な要素をつくりたいと考えた。 そのためには「簡潔であること」が重要であると考え「簡潔さ」を追求した普遍的はファサードを目指した。 建物の周囲は路地や長屋、住宅で囲まれているが「路地の空を利用し」外からは中が見えないように壁を設置している。 そのため夜でもカーテンを使わなくとも外からは見えない空間としている。 この中間領域はプライバシーが確保され「自然の変化」を感じ昼も夜も緑とふれあうことができる。夜空の星を楽しんだり、時には綺麗な満月を見つけ豊かな気持ちになる。室内の照明を消して外の照明のみを照らし、夜の自然を感じる「非日常な夜の生活」を楽しむことができる。これは室内を「窓」ではなく「空に開く」ことにより実現できたと思う。またこの壁は防火壁の役目もはたしているため、準防火地域でも防火設備を必要としない開口部を設置している。 料理を作りながら空が見えるようにキッチンの床の高さを下げているため視線が空まで抜ける空間としている。 路地には将来建物が建つことはないため空が見える空間はこれから先の将来も変わりなく持続できる。 1、昔からある路地の上の余白を活かし中庭を介して「路地の上空」から間接的に採光を取り入れる計画とした 2、簡潔さを追求し、建物に「軽やかな安心感」を与え住まいと街区をつなげる利他的な要素をつくることを考えた 3、内外の中間領域をつくることでプライバシーに配慮しつつ昼も夜も木と緑、自然と共に生活を送ることができる

2