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町と景色と地面と…家族の居場所が交わるところ さぬき平野に点々と点在する小さな島のような小山の一つ…名もない標高80m程度の小山のほぼ天辺にこの敷地はある。石積擁壁で作られた古くからの造成地の中、区画されて以来50年近く、一度も家が建ったことのない…ずっと空地だった場所。 なぜ売れ残ったのか?ということを推測することで、その土地の個性が見えてくる。他の区画より幾分広いからだろうか。広さの割に大きな石積階段が敷地真ん中に配置されていて非効率に見えるからか。また、造成擁壁の高さが意外に低く、敷地の1階レベルでは、前に家が建つとせっかくの景色が見えなくなってしまうのだ。 家族の居場所であるリビングルームを地面からなるべく近く、そして前に建つ住宅の屋根を視界が超え、景色の広がる最小公約数としての2050の高さとしながら、その周りを木製の階段で包み込んだ。それは既設の大階段とも連続し…家族の居場所が町と敷地…大地と床…それらの境界は薄れ、その場の環境や地域…季節をおおらかに繋げてくれる。 「点々」と点在する小山の上、夜は「点々」とした光の粒を夜景として見ながら、昼間は子供達が木製の階段を駆け下りる「テンテン」という音が聞こえてくる。
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