河口湖の別荘

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    小笠原正豊建築設計事務所、協力:渡辺義之
  • 担当者
    馬郡文平(設備設計)、
  • 施工
    依田建設
  • 構造設計
    長坂設計工舎
  • 撮影
    鳥村鋼一

幼いころから慣れ親しんだ別荘の建て替えプロジェクト。「できるだけ多くの部屋から富士山を眺めることができること」、「通風の良い家とすること」が施主からの要望でした。「この絶景という言葉でもまだ足らない見事な富士山と湖の眺めを、一体どう生かしていったらよいのだろう」と検討に検討を重ねました。 またその眺めだけに頼るのではなく、居住空間としての快適さを、風向計測機などの機材を用いて気候データを継続的に取得し、科学的に検証したうえで設計プロセスに取り入れることをこころみました。スタディの結果、コの字型の平面計画を採用することにより、各居室から富士山への眺望を確保することとしました。また、夏期は、河口湖の水盤上部で気化熱を奪われたそよ風を受け止め、冬期は、北側背後の山から吹き下ろす風から中庭を守る形態としました。夏期2か月間に渡り風速計で風速風光のログをとり、微気候を精査した上で、CFDシミュレーションを行いました。 そして、「別荘ならではの建築とはなんだろう」と考えたときに、「普段の住まいではやらない・できないことをやるべき」と考えました。日常生活に対しての非日常は、気分転換にはとても重要です。都心にお住まいのオーナーが、週末や休みを過ごす別荘とは、自然に囲まれてリラックスし、日々の緊張を解く場なのではないでしょうか。であれば、その自然をじゅうぶんに享受できるような空間を作って差し上げたいと思いました。また建築的には、非日常を5m弱の天井高を持つヴォールト天井というかたちで表現しました。 暖房設備として長期滞在用の躯体蓄熱式温水床暖房を基本としつつ、短期滞在用のガスファンヒーターを併設しました。リビングの薪ストーブは、視覚的にも体感的にも、人を惹きつけます。 NHK美の壺スペシャル「日本の避暑地」にて「Breeze of Mt. Fuji / 河口湖の別荘」が取り上げられました The American Architecture Prize 2017 Honorable Mention アメリカンアーキテクチャープライズ2017 奨励賞受賞。

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