
PROJECT MEMBER
ワイン作りを目指す移住者のための小さな家です。 北海道余市郡仁木町は昔から果樹園が多く、果物の良い生産地です。高齢化が進み果樹園の跡取り問題が生じていたところ、葡萄の生育に適した土壌であることから、近年、新たな移住者による耕作放棄地を利用したワイナリーが増えてきています。 施主はパートナーとの二人暮らしで、これから新規にワイナリーを立ち上げるための必要最小限の住宅が求められました。 計画地の凍結深度は60cm。凍結深度以下まで基礎を掘り下げなくてはならない条件を活かし、深めに掘って作ったRCの基礎の上に屋根を架けるだけのシンプルな作りとしました。屋根勾配は構造計算する上で積雪荷重がゼロになる60度の勾配です。60度勾配となった結果、妻側が正三角形の立面が生まれました。 大自然と対峙しつつ調和もできる幾何学形状の住宅です。 室内はワンルーム空間です。南側の大きな三角窓から光が差込み、家全体を明るくします。北側の半分に絞られた三角窓は、葡萄畑が一望出来る窓です。リビングダイニングと寝室の間に配置された水廻りの入るボリュームが、緩やかに空間を分節し、小さいながらも奥行き感を感じられる空間です。 掘って屋根をかけるだけの、自然条件に素直に対応した現代の竪穴式住居ともいえるこの家は、北海道の家の素形の一つです。