I’m donut?中目黒

ビルディングタイプ
レストラン
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202
日本 東京都

PROJECT MEMBER

DATA

CREDIT

  • 設計
    FATHOM、DIRECTION&ユニフォーム:大森伃佑子
  • 施工
    studio.inc
  • 撮影
    菅野 桂生(Nacasa & Patners)

中目黒駅の高架下のフードテイクアウトショップ。駅を出た横断歩道の目の前となり、改札を すぐに抜けると一番に目に入る視認性の高い立地となる。 元の店舗は蔦屋書店内のテイクアウトカフェとして長らく愛されてきた場所となる。それに敬 意を払いつつ新しい空間を違和感なくいかに融合させるかがデザインのポイントとなった。 ファサードにおいては良くも悪くもTの文字で切り抜かれたパネルのインパクトがかなり印象 強く感じた。 そこでファサードを水平方向に分割し、上部Tパネル、人の動きが見える開口部、見えない腰 部分の3つにゾーニングした。 上部のTパネルは躯体として存在し今回の改修範囲外となる。この不変で印象的なデザインと 新規で作る部分の境界をどのように施すかが課題となる。 そこで第二層開口部は縦に開く鉄製の折れ戸を用いることで全開にした時は庇のような役割と なり、上部のファサードパネルとの境界を立体的に柔らかく仕切りながらこれまでにない大き な開口を作る事が可能となった。 第三層の見えない腰部分に関しては上部Tパネルに溶け込ませるようにあえて意匠を施さず、 シンプルに白のモールテックスで仕上げている。 ファサードの高さ方向は分割されるが水平方向にその断層が建物の長手側に折れ続くことで 各々のゾーンとしての存在感は保ちつつ新たな店舗としての視認性や広がりを持たせるように 考慮した。 駅から改札を抜けると横断歩道の先にある店舗、赤から青に変わるとみんながそれぞれの目的 地に向かい歩き出す。その風景を徒競走の始まる時のワクワク感や緊張感に置き換え、ゴール の先となる店舗部分にその信号のモチーフをイメージしたオレンジ色の電照サインをオーナー である平子氏の「おもちゃのようなネオンのロゴにしたい」というイメージも踏まえて建物の 中心となる高架の柱部分から吊り下げた。 ドーナツを作るスタッフは背中にロゴが入ったオリジナルのユニフォームを纏い、この信号の ようなサインを中心に動き、狭い店内を行き交う姿はまるでスクランブル交差点のように、駅 前の交通量の多い忙しないこの街並みに自然と溶け込むテイクアウトショップとなったのでは ないかと思う。 駅を行き交う人々や車、横断歩道を待つ人、商品を買うために行列をなす人、そして店内で働 く人たちは境界が曖昧となる事で単純に動く物体として捉えることができ、商品であるドーナ ッツが中目黒の街に静物として浮き上がるように考えた。

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物件所在地

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