ラビリンス -晴れ着の丸昌 横浜店 4階売場-

ビルディングタイプ
アパレル・雑貨

DATA

CREDIT

  • 設計
    一級建築士事務所 堤由匡建築設計工作室
  • 担当者
    堤由匡
  • 施工
    オオイバシ
  • 撮影
    矢野紀行

晴れ着の丸昌横浜店の一連の改修工事で、4階のドレスエリアとなる。1階と2階が和装であったのに対して、4階は洋装の陳列であるため大胆に雰囲気を変えることにした。 イメージしたのはロマネスク様式の修道院、ル・トロネのような重厚で質素な幾何学的空間である。ちょうど三列の売り場を構成できたため、まさにネイブ(身廊)と両側のアイル(側廊)から成るバシリカ式の平面と見なすことができた。そこに重厚な壁を作って連続した半円アーチを穿つことでロマネスク様式を模し、半円アーチの内部にハンガーパイプを渡して衣装を展示した。外周側も同様に半円アーチを穿ち、アプス(壁龕)のようなニッチ状の展示スペースとしている。 半円アーチの穿たれた壁面にはモルタル風の荒々しい塗装を施し、ロマネスクの質実剛健な空間を再現しようと考えた。一方で、金物は真鍮、扉パネルには真鍮色のダイノックシート、収納はウォルナット、打ち合わせカウンターの天然石風化粧板など、ディテールにおいては高級感を感じさせるようにしている。 今回は最初に空間全体をバシリカ式建築と仮定し、次にその中に衣裳を展示していくというプロセスで設計をした。衣装の隙間からは奥の売り場が見え隠れし、反復するアーチはさらに姿見で増幅され、小さいながらも心地よい迷宮性が生まれていると感じた。

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