軽井沢のセカンドライフハウス

ビルディングタイプ
別荘

DATA

CREDIT

  • 設計
    R.E.A.D. & Architects 設備:知久設備計画研究所
  • 担当者
    岡田一樹、岡田絢子(R.E.A.D. & Architects) 佐藤岳人(TS構造設計)、知久昭夫、長谷川雅俊(知久設備計画研究所) 西村直樹(西村工芸)
  • 施工
    建築工房・市川
  • 構造設計
    TS構造設計
  • 撮影
    Masaya Yoshimura, Copist、R.E.A.D.、Kosuke Ino

共生の家[セカンドライフハウス] 仕事をリタイアする夫婦が、南軽井沢という地で第2の人生を再スタートさせるための住宅の計画である。夫婦が避暑や週末を過ごし、家族やゲストが集い、夫婦の終の住処として機能した後、次世代へと渡すことを前提としている。 人生100年時代のセカンドライフとは。日本古来の「共生」という生き方をヒントに、夫婦の暮らしに寄り添う家を考えた。 計画地は、モミの高木に囲まれ、浅間山への眺望が広がる別荘地の一角にある。南東のモミの高木の緑陰、南西に広がる木立の奥行、北東に見える山の稜線、北西に遠く望む浅間山。計画地に立った時、景観が方位ごとに異なり、様々な緑に抱かれた環境であることを強く感じた。そこで私たちは、この緑豊かな周辺環境と東西に長い敷地形状を活かし、軽井沢らしい景観を創出すると同時に、建物の中を歩く中で移り変わるように現れる四季折々の庭々に囲まれた住環境にしたいと考えた。 まず、長い敷地形状に沿って夫婦が暮らすメイン棟とゲストが過ごすゲスト棟の2棟を配置し、それらを回廊がつなぐ構成とし、回廊と部屋の開口部に面して景観の異なる複数の庭を配置した。外観は周囲の山並みと調和するコンクリートの勾配屋根とし、南側の森や庭への眺望と採光を確保しつつ、北側の隣地に対しては控えめな佇まいとした。コンクリート打放しの大屋根の内部は、夫婦の距離感を適度に保てる伸びやかで天井の高い空間としている。 また各部には、年月を経て周辺の景観に馴染んでいく自然素材、職人の手仕事による製作金物を用い、日々の暮らしの中で自然や時間の流れと共に生きていることを実感できる設えとしている。 東側の玄関から渡り廊下を通り西側のライブラリーまで折れ曲がりながら進む動線上には、所々に建築主に縁のあるアートワークと寛げる家具が置かれ、移り変わるように現れる複数の庭々の四季折々の表情と共に、夫婦のセカンドライフに彩りを添えている。 敷地と設計条件から発想した2枚大屋根の家[セカンドライフハウス]が、夫婦の共生を優しく包み込む。

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