




大阪市内に位置する4階建ての集合住宅を外国人観光客向けの宿泊施設である。 数十年前に建てられた建物は見栄えこそ古びているものの、堅固なRC躯体であった。 老朽化した外壁は、既存サッシやレンガタイルの補修後、アルミの不等辺アングルを垂直方向にランダム配置し、新たなファサードとして刷新された。向かいの集合住宅や店舗からの視線を遮るとともに、雑多な周辺環境の中で際立った異質性を放つ。 一階のテナントを除く上階の3フロアには、プランが全て異なる計9室が計画された。 配管設備や劣化部分を一新し、既存の粗いコンクリートの仕上げやガラスブロック、施工当時の職人が書き残した文字や寸法線などは、各室を印象付ける要素として全て残存させた。新たな壁・天井、設備・収納コアは慎重に配され、プレーンに仕上げた。空間を柔らかに照らす間接光は、粗い凹凸のある下地素材や骨材の陰影が浮かび上がらせている。武骨さと繊細さが共存する宿泊スペースの中で、束の間の都市生活を楽しんでほしい。

