
DATA
- ビルディングタイプ
- 共同住宅・集合住宅・寮
- 工事種別
- リノベーション
- 延べ床面積
- 24㎡
CREDIT
- 設計
- JAM
- 担当者
- 村田純
- 施工
- 佐藤組
- 撮影
- JAM
老朽化したマンションの一室。梅田の繁華街まで徒歩圏内にある利便性の高い立地。 敷地北側に広がる緑化公園は、この空間に繋がる大きな庭である。 創作家であるクライアントは、24 ㎡のこの小さな空間を、できるだけ広く自由に使えるような使い方を求めていた。場所の特性上、アトリエや SOHO ユースとして考えられた。 コストを軽減するため、躯体をそのまま現した状態で仕上げ、配管は全て露出させている。水回り・照明設備についても、必要最小限の刷新に留めた。 内部は不要な残置物や解体可能なものは全て撤去し、つや消しの白塗装が施されている。 西側の奥、元々の押入れを撤去し、コンクリートの粗面を一部露わにすることで、かつての痕跡として残している。 その表面には透明な塗装を施し、鈍い鉛艶の壁面として蘇らせ、白い空間の中で独特な存在感を放っている。 光沢のある床面には、刻々と変わる空や雲の様子、日常の何気ない動きが映り込む。そこには凪のような穏やかな印象が生まれ、静けさに満ちた空間 に微かな動きを与える。 空間を緩やかに領域付けるのは、窓側・中央に引かれた2 層のシアーカーテンである。外の風景をわずかに透過させる軽やかな布は、自然の要素を抽 象化させるフィルターとして、そよ風を捉え、外光を拡散し、室内全体を抽象化する。 狭小空間をできる限りプレーンにデザインすることで、スケールを超えた豊かなスペースを獲得できるのではないかと考えた。 感覚を研ぎ澄まし、街や自然へと意識を広げながら、都市における創作活動を楽しんでほしい。
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