私たちの家

ビルディングタイプ
戸建住宅

DATA

CREDIT

  • 設計
    ピークスタジオ 一級建築士事務所
  • 担当者
    藤木俊大、佐屋香織、佐治卓
  • 施工
    株式会社伊田工務店
  • 構造設計
    Graph Studio
  • 撮影
    田中克昌

施主であるHさん家族は自分たちの暮らし方を見つめ直し、東京から地元である神戸へ戻り生活を再構築していく道を選んだ. 働き方も暮らし方もより多様化し、そして社会もそれを認め受け入れていく流れにある. しかし、多様な価値観、暮らし方が認められる一方で、今の住宅生産のあり方は、それら個別のwellbeing(幸せな暮らし)の実現にどれほど向き合えているだろうか また一方で、自分や家族の価値観、wellbeingな暮らしとはどういうものか. それを明確に答えられる住まい手も多くはない. 今やインターネットで簡単に手に入る情報、日々流れ込んでくる広告、その中から自分が本当に求めていることを掴み取ることは難しい 今回Hさん家族の住宅を設計するにあたり、Hさんの本当に求める豊かさを実現したいと思った. であれば、家族のwellbeingな暮らしを明確にすることが最初のステップとなる これまで歩んできた人生での経験、暮らしてきた場所・環境、家族や友人、地域との関係によっても個人の幸せの形は変わってくるだろう. それらを掘り下げ、引き出し、家族の関係をも再構築していくために、家族各々をコーチングしていく専門家とコラボレーションした 専門のプロコーチによる対話、アンケート等により各々(今回は夫婦)の原風景や想いの明確化を行い、それをそれぞれの家として具現化(夫の家、妻の家という具合に)し、それを使いお互いの価値観に触れる擬似体験をする.その後改めて家族のための家として計画し直すというプロセスで設計は進められた 少々面倒なこれらのプロセスを踏むことで、この住宅がHさん家族にとって共有された価値観が実感をともなって具現化されることを意図している Hさん家族が大切にしたのは、家族で食事をする時間. そして家族が各々に過ごす時でも感じられる家族の気配(共在感覚)である. そこで、1階の中央に大きなワンルーム空間をとり、そこをキッチンとダイニングとした ダイニングまわりに、一段下がり庭と連続したリビング、アルコーブ状のベンチスペースなどを配置することで 囲まれた安心感をつくりつつ、ダイニングまわりにゆるやかに小さな居場所を与えている 四周のハイサイドには開口を設け、風と光を取り込みつつ、視線が空へ抜けるようにした. 最小に抑えた子供部屋と寝室は東西の外壁沿いに並べた壁柱によって2階に持ち上げられ、1階の家族で過ごす場所を最大化し、また、2階の眺望が開けた場所にピアノやデスクを配した家族室を設け、床をスノコ状にすることで気配を下階にも伝えている 1階のアルコーブベンチや、庭と連続したリビング、寝室から家族室を介して見える空、五角形のダイニングテーブルや家族室から聞こえてくるピアノの音. それぞれの要素がHさん家族の原風景や理想の暮らしのシーンに由来している 旦那さんには「すべての場所がなぜこう作られているのか説明できる。自分にしかわからないけど、全部にストーリーがある」と言ってもらえた. こうしたひとつひとつが、愛着となり、これから先長く住んでいく上での家族の拠り所となるのではないかと思う