ひなたの森保育園

ビルディングタイプ
幼稚園・認定子ども園・保育所
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490
日本 東京都

DATA

CREDIT

  • 設計
    プラスチックアーキテクツ
  • 担当者
    本杉一磨、今冨佑樹
  • 施工
    三光建設株式会社
  • 構造設計
    KOBA設計
  • 撮影
    川辺明伸

これは、世田谷区祖師ヶ谷大蔵にある区立小学校敷地の一角に建つ私立認可保育園の計画である。 地域に根差した小学校敷地に計画するにあたり、小学校を含めた“地域との相互交流”と、保育室内の活動にとどまらない“子どもたちの多様な活動の場の創出”が望まれた。同時に、保育の容易さやコスト面からは、シンプルな建物形状が要求され、多様性と単純性を同時に獲得することを目指した。 単純化の検討 室内空間を矩形にしたいとのリクエストから、いびつな敷地形状の中に建築面積が最大となる矩形のヴォリュームを配置し、その周囲にできた2種類の三角形の空間を屋外の遊び場として計画した。建物はなるべくシンプルな架構となるよう等スパンの柱割りとし、子どもたちのアクティビティに応じてヴォリュームの調整を行いつつ計画が進められた。 住宅街における保育園の在り方 周囲は密集した住宅街であったが、公園と小学校の校庭に向けて大きめの開口部を設けることで、良好な眺望を確保した。加えて、大きな開口部付近にはベンチを設え、子どもたちの居場所をつくった。そこでは、下校中の小学生と交流が生まれるなど、外部との接点としても機能している。 一方で、道路に対し建物の角度を振ることで、近隣の住宅とは正対しない建物配置とし、近隣住宅と保育園、双方のプライバシーに配慮した。 多様性の獲得 都市部の保育園では、限られた敷地に計画するため、ともすれば、園児の定員数の最大化が命題となり、保育室以外のスペースを削減するような計画になりがちである。しかし、自主性や創造性を育むためには、保育室や園庭といった最低限必要な場の確保だけではなく、それ以外の活動の場をいかに設計するかが重要であると私たちは考えた。 以上のような観点から、本計画ではあえて通路や階段ホールなど随所に“たまり”の空間をつくり、子どもが思い思いに過ごすことのできる居場所を設けた。そうすることで、単純な建物形状でありながらも、子どもに多様な活動の場を提供できたのではないかと考えている。

物件所在地

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